後日、私にこの本を薦めてくれた知人に感想を伝えた。
私はてっきり「配信の参考になるというけれどどう思う?」という意味で読んでみてほしいと言われたのだと思っていた。
がどうやら違ったようだ。
その人は木嶋佳苗死刑囚に支援者がいることを不思議に思っていた。
まず木嶋佳苗死刑囚を擁護するわけでは決してないけれどと前置きをした上で「本当の悪人だったら支援者なんているだろうか?」と聞いてきたのだ。
一瞬返答に詰まった。
私には本を読んだ後もやはり木嶋佳苗という人は3件の殺人と6件の詐欺・同未遂、1件の窃盗をしていてもおかしくない人物のように思われたし、罪を犯しているならばきちんと公にして正しく裁かれるべきであるという考え自体は変わっていなかった。
しかし同時に木嶋佳苗を支援する人物がいてもおかしくないだろうという理解も生まれていた。
プライドが高く負けず嫌いで好奇心旺盛で努力家。
そんな印象を受けていた。
全くもって見当違いかもしれないが、でもだとしたらとても人間味溢れている。
多方面から見る。
これはとても大切なことだと思う。
本質を見抜く目を持つーーなんて大それたことは言えないし、私が言ったところで言葉に何の力もないが、一方的な見方で頭ごなしに決めつけるのは視野を狭くし判断を鈍らせるということくらいはわかる。
先にも述べた地頭を良くする方法とは真逆のことだ。
今回の『礼讃』は長くて読むのが大変だったけれど、知人の問いかけのおかげでいろいろと考えることができて、感謝している。
イタリアンに鉄板焼き、とろろ蕎麦パンクッキーアイスイカ焼きせんべいケーキあんこ菓子……食べ物が大量に出てきても胃もたれを起こさない人に、この本はお薦めしたい。