イベントまで2週間を切りました!
まだ作品が完成していないのでドッキドキな毎日です。。
今回はずっとやってみたかった声と漆を掛け合わせた作品第一弾になります。
声と漆の合わせ方もいろいろあると思います。
例えば作品に込められたストーリーを朗読で表現するだとか、劇中のキーとなるモノが漆でできているとか。
最初は物語を書いて、その挿絵のような形で漆で絵を描いて、さらにボイスドラマのように声をあてるのはどうだろう?と考えていました。
これもいつかやりたいことのひとつではあるのですが、今回は文字にして意味を持つ〝言語〟ではなく〝音〟に焦点をあてることにしました。
というのも、今回の作品を制作する前に、私は漆と縄文時代の繋がりに興味を持っていました。
漆は古くは縄文時代から使われており、人間がきちんと管理して育ててきたという歴史があります。
この長い歴史の中で、それでも変わらず使い続けられてきた漆という樹液。
AIが中心となっていくであろうこの先の未来で、どう生き残っていくのかとても興味深く感じたのです。
そして縄文時代に思いを馳せた時、当時はまだ文字というものがなく、音の持つ響きに意味を持たせることで共通の認識を持ち得ていたのではないかと想像しました。
例えば鳥の囀りのように、現代の私たちが聴いても何を語っているのかはわからない、けれど音がその魂を内包しているというように。
そして文字がない代わりに情景や想いを模様などの記号に込めたり置物にしていた…
(縄文語に関する知識がないのであくまで想像の世界ではあります)
今後ますますデジタル中心の社会になってAIが独立で言語を持つようになったとき、進化した言語というのもまた人間からしてみたら鳥の囀りと同様かもしれないと思いました。
さらに縄文時代に描かれた記号や置物の数々は、デジタルの世界で生きるアバターと似ているとも。
世界で見ても原始的な人びとにとって、絵に描かれたものと現実の境目は漠然としていました。
絵に描くことでそのものの魂を写し取ることができると信じ、獲物の絵を壁画にすることで、そしておそらく槍などを突き立てることで、本物の動物も自分たちに屈服するだろうと考えていたのです。
日本でも狩猟で獲ったイノシシは捨てるところがないくらい用途の広い動物で、その姿を模した土器が多く出土しています。
感謝の意味を込めたのか、また仕留めることができるようにと願ってのことなのか…
込められた意味は想像するしかありませんが、それでもリアルから置き換えてつくったものに魂を込めるという行為は共通しているように思います。
別の自分、理想の自分、物語の中に生きる自分…
デジタル世界のアバターもまた魂が吹き込まれて存在しています。
このように縄文時代と未来における共通点を私なりに発見して、それを「漆」という縄文時代からこの先の未来まで存在し続けるであろう素材を使って表現することが今回のテーマになっています。
「声×漆」制作ストーリー②に続く