縄文時代、生活する上で漆が必要不可欠だった(ヤジリの接着や土器)
漆のおかげで生活が豊かになり人工的に植林が進んだ。
人間と漆は共存共栄といえる関係だった。
その後、漆は権力の象徴となっていく。(平安貴族の装飾品、安土桃山時代の刀の鞘や建物など)
江戸時代には納税の一種としてウルシの木に対して漆年貢も課された。
権力者と共にあり続けることで、漆もまた生き残っていくことができたのである。
しかし現代において漆は権力の象徴ではなくなった。
鎖国が終わり外国の文化が流入してきたことで権力者たちがこぞって海外製品を良しとしたことが原因と考えられる(権利の象徴の移行)
では漆はその後どのように今日まで生き残ってきたのか。
それは〝文化〟として生き残ってきたのである。
漆は「日本文化」という壁に守られることでクローン増殖を繰り返しながら現代まで残ってきた。
しかしここにきて漆の存続が厳しくなってきているのは、
①「日本文化」の壁の維持が厳しくなってきている
②個体数の変化によりクローン増殖ができなくなってきた
ことが考えられる。つまり、
①日本人の生活に必要なくなり、支える者たちがいない。国の支援も厳しい
②生産者不足
により人間と共存してきた漆が寄生先を失いつつある。
では「日本文化」の壁が消滅した場合、生き残る道はあるのか。
①クローン増殖から有性生殖に変化する
②権力者の象徴として返り咲く
どちらかが成功すれば生き残れるのではないか。
①漆と別のものを融合させて新しい漆個体を生み出す
②ブランド価値を高めて世界の権力者が求めるものを提供する
上記の条件の内どちらかまたは両方を満たした場合、漆は生き残っていくことができると考えられる。
つまるところ私がが漆とデジタルを融合させた作品づくりを目指しているのはこういった理由からである。