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クルシャの天地

あごのせクル




猫が目を細めて、むくれた顔しているのを見ると安らぎますね。
つい、見ている方も不細工な顔になってしまいます。









ウルタ君もたいがい不細工な顔して、飼主の目の前でいつも転がり
ながら見守っていてくれました。








クルシャ君はまだ幼いし、根本的に族長だしで、飼主について気遣うこと
なんか、こちらから期待などしていないのですが、最近はすこし変わって
きています。













夏なので、少し風でも通すと、虫が入ってくることがあります。


その虫がメスの蚊だったりして、飼主を刺すこともあるわけです。











敷居にあごを乗せて、思う存分不細工になり散らしてくれているクルシャ君
が、その侵入してきた蚊を発見するなどということがあるでしょうか。
あり得ないのです。

すると、飼主は襲ってくる蚊を自分で叩かないといけません。











昨日、そんなことがありまして、既に同じ蚊に一度刺された状態で、二度目の
襲撃に対して飼主が反撃したわけです。当然、蚊は紅くなります。

飼主の掌に紅い染みができます。自分の血です。
クルシャ君が刺されているならば、何らかの感染予防薬を使わなければなりません。












いずれにしても、蚊を叩いた音と気合いに驚いたクルシャ君は、飼主の方を
見たまま、こちらが返事をするまで鳴き続けていました。


「どうしたのー、何があったのー、大丈夫なのー」


飼主が返事をして、宥めると鳴き止んで安心し、飼主が刺された腕の様子
などを見に来ました。











クルシャ君に虫さされなんか見せても、どうにもならないんですけどね。














飼主、どうもクルシャ君に心配はされる身分になったようです。














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