1996年に発表された論文によると、人々はネガティブな時にネガティブなものを期待するバイアスが発生するとのこと。
またポジティブな時はポジティブ・ネガティブなものの区別がつくが、これは認知機能に頼った判別だという。
この現象は感情バイアスと呼ばれるものの一種だ。
感情バイアスとは、目の前にある出来事や事象の区別に感情が干渉してしまう人間の特性のことを指す。
明らかに正しいことを言われているのに、「その言い方が気に食わない」と感情的な理由で正しいことを否定するような行動が例に挙がる。
人間は物事の判断や認知のしようを感情に左右されやすく、この現象は意識すればどーにかなるものでもない、難しいものだ。感情がどのようにして物事の判断に干渉するかは『評価的条件付け』で調べてみるといい。
感情バイアスを知った人間の一部は、己が持つ「感情は不要である」という理論をさらに固めることだろう。
その行動原理が感情をもとにしていることは、今回は黙っておくとしよう。
話を戻そう。
今回の論文を鵜呑みにするのであれば
「人間は自分の期待通りかどうかに優先的に興味を持ち」、「ネガティブな時にネガティブなものを好む」傾向があるということになる。
これはすなわち「心配性な人は心配という感情が長く続くような状態になっている」「時間経過とともに、うつ病の人がうつから抜け出せなくなる」ことも示している。
頭を抱えてしまうだけの、今すぐにでも投げ出したいぐらいの問題が解消されたときに、心に残る不快な感触。感触は苦悩しただけ膨れ上がり、それから逃れたいがためだけに怒りだすまである。
それこそが、ネガティブなことを望む感情バイアスである。
ーーー私はお人よしだから、彼の心配を解消してあげようと思った。
そしたら彼は、繰り返し「でも、でも」と次々と心配を作っていった。
まるで、心配性であることが望みかのように。
参考文献
GEOFFREY CHUNG, DON M. TUCKER et al. (1996) Emotional expectancy: Brain electrical activity associated with an emotional bias in interpreting life events.
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