2008年に発表された論文によると、グループロールプレイによる歴史の授業は高校生の歴史の成績をあげ、また批判的思考の向上も見込めたという。
具体的には、歴史の基礎知識を身に着けた学生達がそれぞれの役割を持ったグループに分かれ、題材を模したやり取りを行ったという。論文には「冷戦時の国際連合」を題材としたという記述があり、1949年のベルリン危機とベルリン空輸について、東西勢力を模したグループが当時の主張を再現したり、もしくは主張の論理を組み立てていったのだそう。
このグループロールプレイを基礎知識を教えたうえで行ったところ、ロールプレイを用いない従来の授業を行った対照群よりも成績が上がったという。またロールプレイを行った学生は学習内容との関連性を見出し、より深い考察と、やる気が観測されたという。
学習内容とゲーム内容が一致している場合、学習した内容をゲームでフィードバックすると成績向上が見込めるという話もあり(Sarit Barzil 2013)、このことから意思決定が伴うフィードバックは有効であることが推測できる。
わかりやすいたとえは、理科の実験だろうか。生徒は事前に学んだ、あるいは同時並行で学んだ内容をフラスコ振ったり試験官熱したりして自分たちが関与する形で具現化する。そのときに湧きあがる楽しいという感情が、学習を後押しするようなイメージだ。
意思決定が伴うフィードバックを行うことで得られるものは単純な知識ではなく、「自分の能力をきちんと発揮できた」という実感のある複雑な知恵である。もちろん、フィードバックを行うためには事前に知識を習得している必要があり、ただごっこ遊びをしているだけでは身につかないので注意だ。
ーーー「なんでこんな役に立たそうな勉強しなくちゃいけないんだよ」
「それらの知識は社会に出た時に必須だし、生きる手段を幅広いものにするためにもあるんだよ」
「じゃその使い方も教えてくれよ。使い方わかんなきゃいつまでも無用の長物だろうが」
参考文献
Savich, Carl (2008) Improving Critical Thinking Skills in History.
Sarit Barzil,iaIna Blau (2013) Scaffolding game-based learning: Impact on learning achievements, perceived learning, and game experiences.
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