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2013年に発表された論文によると、学習内容とゲームジャンルが一致している条件において、ゲームによる問題解決能力の向上には事前学習が有効であり、また事前学習はゲームで得られる楽しさを阻害することはなかったという。
事前学習を設けることで対象は学習内容をゲームでフィードバックでき、また意志決定を介したゲームを用いることで学習を『体力を使う楽しさ』として昇華できたことが、今回の問題解決能力の向上という結果につながったと思われる。
わかりやすく言うのであれば、第二次世界大戦を題材とした歴史シミュレーションゲームをプレイする前に1930年代から40年代の年表と知識を学んでおくことで、よりその時代への理解が深まるということである。事前知識をゲームで一通り閲覧した後に、その知識を深堀しようとする試みはなお良しだ。
今回の研究では「事前学習からゲーム」以外にも「ゲームしてから学習」「ゲームのみ」のグループが設けられたが、「ゲームしてから学習」はゲームしたことによる疲労から学習内容が身につかず、「ゲームのみ」では思う通りの結果が得られなかったという。
また、今回の研究ではどの形態の学習であっても学業成績の向上は確認できなかったという。この原因として、期間が短すぎた(今回のゲームを介したお勉強の効果は一日分の観察から求めだされた)こと、ゲームに適応した頭の使い方と学習に適応した頭の使い方に差分がある可能性が論文内で挙げられている。
ーーーまた今回の研究では、ゲーム・学習への熱中は事前学習によって阻害されなかったが、
ゲーム・学習への熱中は成績や能力向上の直接的要因とはならなかった。
だが、これは生徒が学習に熱中しなくてもいいという証拠にはならず、
まして、意思決定の機会もなく生徒が関連性を見いだせず
熱中したくてもできない授業展開を容認するものではない。
参考文献
Sarit Barzil,iaIna Blau (2013) Scaffolding game-based learning: Impact on learning achievements, perceived learning, and game experiences.
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