2010年に発表された論文によると、認識論的信念(学習に対する特定の思い込みや考え方)を題材とした授業の展開は、受けた人のそれを洗練したものにするという。
具体的には、教育学修士課程を対象に認識論的信念を題材とした授業を展開し、さらにその授業内容を自身にあてはめ、学んだ視点をもって分析した結果を日記としてまとめるという日々を過ごした結果、「知識は単純で不変のものである」「学習は早ければ早いほどいい」などの思い込みが解消の傾向にあったという。
「自分の成績をむしばんでいる(Lisa D. Bendixen et al. 2003,Qian, G 1995)かもしれない要素を、成績を得るために必死に学ぶ」のだから、まぁ解消されるわな、思い込みの1つや2つは。
また、「学習は急がず慌てず着実に進めてもいいけど、知識は単純で不変のものである」などの、洗練された考えと思い込みの混在が観測されたという。これは認識論的信念を題材とした学習の影響を受け混乱している様子を反映している、学習した内容を崇拝している、という2つの可能性を示唆しているものだと推測された。
ーーーそして、今回観測された解消の傾向は、一年かけて達成されたものだという。
類似の研究においても、調査に何か月かけてまともな結果が出た、継続したことで数値が現れた、という報告が確認できる。
この通り、認識論的信念は時間をかければ改善可能ということがわかっている(AnneMarie et al. 2004)が、
逆に言えば、十分な授業を確保するだけの資源がない限り改善は難しいということでもある。
参考文献
Joanne Brownlee,Nola Purdie et al. (2010)Changing Epistemological Beliefs in Pre-service Teacher Education Students.
Lisa D. Bendixen, Kendall Hartley. (2003) Successful Learning with Hypermedia: The Role of Epistemological Beliefs and Metacognitive Awareness.
Qian, G., & Alvermann, D. (1995). Role of epistemological beliefs and learned helplessness in secondary school students' learning science concepts from text.
AnneMarie M Conley,Paul R Pintrich et al. (2004) Changes in epistemological beliefs in elementary science students.
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