2015年に発表された論文によると、ナルシシズムの傾向が強い対象は人に行動を強いる支配的な操作が多く、また(共感的関心を介した結果)人に自律的な行動を促さなくなるという。
どうやら、ナルシシズムの傾向が強い人は常日頃から「誰かに影響を与えて、自分の存在意義を満たしたい」という強い欲求に苛まれているらしく、その欲求を手っ取り早く満たすために、他人に『強制』といえるようなきつい支持を与えるのだという。
きつく指示された他人は混乱した状態でその人の指示に従うだろう。もしくは繰り返されることで無力感を学び、従順になるか。なんにせよ、指示に従う他人を見て、彼らは「俺の指示に従ってみんなが動いている! 俺の影響でみんなが動いている!」と欲求を満たせるだけの快感を覚えるのだという。
彼らは自分の指示に従わない、欲求にそぐわない他人に対し飽くまで攻撃する。彼らが行う暴力や暴言は一種の威嚇戦略といえるものであり、つまるところ駄々をこねているのである。
要するに、赤点だらけのテストを子供が持ってきたときに起こる「お前のためにやっているんだ!」と親が躾けているあのシーンは、間違いなく言った本人の欲求のための怒りである。
ナルシシズム傾向の高い親が子供の赤点で激怒する理由の1つに「成績の高い子供を持つ親として褒められたい」という欲求がある。なので彼らの思考回路としては「お前の成績が悪いと、俺が褒められないじゃないか」というものになる。
しかもナルシシズム傾向が強い人は『自身を満足させる』要素でもある結果・成績に注目しがちであり、過程や感情を気に留めることがないので、もはや躾でもなんでもないのである。こんな調子では修正もできないので、子供が次に持ってくるテストも、おそらく赤点まみれだろう。
ーーーちなみに、ナルシシズム傾向が高い人は共感能力に乏しい傾向にあるため
「なんてかわいそうなことをするんだ!」というような説得はほぼ無効である。
……もしかしたら、「俺に共感しやがれ!」って怒る可能性があるかも?
参考文献
D. Matosic,N. Ntoumanis et al. (2015) Narcissism and coach interpersonal style: A self-determination theory perspective.
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