2003年に発表された論文によると、学習に対する固定観念のいくつかは答えのない問題への対処の障害になりうるとのこと。
具体的には、「専門家は誰もが知らないような情報を独占している」「能力は生まれつきのもので、努力しても成長しない」という思い込みは、ハイパーメディア形式の回答が固定ではない課題解決の成績と負の相関を示したという。
要は学習する意義を削ぐような考えを持っていたら、学習意欲も削がれるよね、ということ。
注意点としては学習能力そのものを削いでいるわけではないということ。「専門家が全部知っているから」「能力は不変だから」という考えは、学習能力に直接的な影響を与えるのではなく学習する機会を奪うので、課題の成績という形で負の効果が表れやすいのだ。
なお今回の研究では「習得は早ければ早いほどいい」という思い込みは課題解決の成績と正の相関を持っていたが、これは課題に設けられた時間制限の影響かもしれない、とのこと。
ーーーまた、「知識は単純で普遍的で、一度学ぶだけできちんと習得できる」という思い込みは
一定の回答がある課題解決の成績と負の相関を持っている。
こんな思い込みを抱いてしまう原因を具現化できるのなら、ぜひともタコ殴りにしたいところである。
参考文献
Lisa D. Bendixen, Kendall Hartley. (2003) Successful Learning with Hypermedia: The Role of Epistemological Beliefs and Metacognitive Awareness.
Qian, G., & Alvermann, D. (1995). Role of epistemological beliefs and learned helplessness in secondary school students' learning science concepts from text.