ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

教員の勤務年数は、生徒の出来と関係がない。

2022-05-14 | 旧記事群

生徒の成績に対する影響を基準にした場合、教員の勤務年数は無視していいパラメータとなる(取り上げるまでもない、小さな効力ということ)

教員の知能・認知能力・学歴・学位・免許のグレード・学習時間・給与も同上である。

教員が生徒の成績にもたらす影響において、上記の理由は説明にならないという。

 

逆に、教員教育の内容は無視できないパラメータである

これは、一律の教員教育を受けた教員間の成績差分が主に教師自身や生徒による小さなもの(例えば Thomas J.Kane et al 2006)なのに対し、異なる教員教育を受けた教員間の成績差分が教師自身や生徒によるものでは説明できないほどに大きい(Linda Darling-Hammond 2000)ことから考察されたものである。

具体的には、日本でいう教養学部で必修となるような科目を履修している教員とそうでない教員を比べた場合、圧倒的に前者のほうがより良い指導と成績をもたらすことができるという。

上記にて「学位は無視できるパラメータ」と紹介したが、例外として教育学の単位とその履修は有意に働くことも確認されている。

 

わかりやすいものたとえは『道路』だろうか。

白線が擦れたアスファルトの道と、何車線も通っている国道。

見た目や政治経済的な立ち位置は違えど、どちらも道路としての役割は果たしているため問題なく使用できる。

だが、舗装もされていない林道や人の足でも困難な酷道は道路としての役割を果たせるかどうかが怪しく、事故や通行不可もありうるだろう。

生徒の成績に対する教員の効果も似たことがいえる。

「教育とは何たるか」を最低限でも学んだ教員は学歴や知能の違いはあれど教員としての役目を果たせるため、大きな違いが現れない。

だが、「教育とは何たるか」を学ばなかった教員はその責務を果たせるかどうかが曖昧であり、結果生徒の成績を大きく揺さぶることになる。

 

生徒の成績を基準にした場合、

学歴や勤務年数で教員は語れない。

「教育とは何たるか」を語れるかどうかだ。

 

 

参考文献

Douglas N.Harris and Tim R.Sass (2008) Teacher training, teacher quality and student achievement.

Eric A. Hanushek, John F. Kain et al. (2005) The Market for Teacher Quality.

Linda Darling-Hammond (2000) Teacher Quality and Student Achievement.

Linda J.Graham,Sonia L.J.White et al. (2020) Do teachers’ years of experience make a difference in the quality of teaching?

Thomas J.Kane,Jonah E.Rockoff et al. (2006) What does certification tell us about teacher effectiveness Evidence from New York City.



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