White and Black Wing

『ツバサ』の吸血鬼双子と猫LOVE
最近はマイペースに更新中

『X』18.5巻続き5

2017年10月20日 | SS
タイミングが合ったので
珍しく2日続けて更新です
以下ss続き






「神威さ~ん。終わったんですか~?」

戦闘が中断している時間が長かったせいだろう、護刃達が神威のいる所へ向かってきた。
しかし、まだ終わってない事に驚き、昴流がいることで再度驚いていた。
火煉は昴流に簡単に説明をしてもらうと「先ほどの庚が殺されるビジョンも偽りかもしれないわね」と言い出した。
もう『天の龍』ではない昴流が護刃にビジョンの説明をしてもらっているのを目の端に捉えつつ、
何故そう思うのか尋ねた神威に「タイムラグがあるからですよ」と蒼軌が答える。

「あの場にはすでに『神威』がいました。なのに『神威』に殺されたビジョンを見せたのが不思議でした」

蒼軌の言葉に神威は冷静になった頭で考えてみる。
確かに丁は『夢見』だから、もっと前からこの事を知っているはずだ、敵ではあるが『天の龍』たちに警護を頼んだとしてもおかしくない。
それなのに封真がいるあの状況であの『夢』を見せる意味はなんだ?
しかし神威に答えは出せないままだった。

「私、まだ間に合うなら庚さんって人を助けに行きたいです」

護刃がそう言いだし、蒼軌と火煉も一緒に行くと申し出た。
神威たちは二手に分かれて行動を開始した

『X』18.5巻続き4

2017年10月13日 | SS
本屋さんに行ったら
『青エク』の20巻が売ってあったので
お買い上げしてきました
そのうち感想書きますね

以下ss続き









「仕組まれた? 誰に?」

選択は自分に任されていたはずだ。そう思う心と得心がいく思考が神威の中でせめぎ合う。

「答えは既にお前の中にあるんじゃないのか? 神威」

封真は――もう一人の『神威』は――そんな神威の心情を理解したうえで答えを見つける事を促した。

破壊される結界の夢見が不明瞭だった事
大人しい犬鬼が吠えたときの事
自分が東京に来た時襲ってきた同じ式神たちに時鼓さんがさらわれた事
その式神の呪符が丁の放った呪符と同じだった事

神威が出した答えは……『丁』。と、同時にある事を思い出した

「しまった。俺、空汰に丁の呪符を使った護法で見張ってくれるように頼んでたんだ」

「それで有洙川くんは」

昴流は心配そうな表情で空汰を探そうと辺りを見渡す。

「姿を消した嵐を捜しに行ったまま帰ってこない」

「伊勢の巫女は地の龍についた」

やはり唐突に会話に加わって来た封真は核心だけを突いてきた。

「何で?」

「さあ? こちらの夢見が見たのは地の龍についたという事だけだ」

「とにかく確かめてみた方が良さそうだね」

「ああ。議事堂へ行く」

3人は頷きあい議事堂に向けていこうとした時――、

『X』18.5巻続き3

2017年10月06日 | SS
今日は寒かったですね
このまま秋が進んでいくのかと思いきや
来週、また暑くなるんだとか……
お互いに体調に気をつけましょう

それでは以下ss続き




「神威。それは神威が天か地を選択するのが前提の話だよね?」

「……前提?」

「僕が地の龍になった時、『神威』は何もする必要はないと言ったんだ」

唐突とも思える昴流の言葉に神威は戸惑いの表情を見せ名を呼ぶ。
昴流は辛そうな表情で話を続けた。

「それなら天と地に分かれている必要があったのか考えてた」

「答えは出たか?」

それまで無言だった封真が興味深そうに昴流に問いかける。

「……そもそも分かれる必要はないんじゃないかと思ってる」

神威が自分の答えでどれほど傷つくか分かった上での言葉は
しばらく逡巡したのち涙が流れないのが不思議なほど悲しげな顔で紡がれた。
瞬間、昴流の肩を掴んでいた神威の手から力が抜け腕を伝って下に落ちる。

「俺のせいだ」

「違う」

絶望を宿した神威の声を昴流が即座に否定をするが、

「俺のせいで」

「違う。神威聞いて」

届かない。今度はもっと強く。神威の両手首を掴みながら。

「こんなことに」

「君のせいじゃない。そうなるように仕組まれていたと思うんだ」

昴流の思いがけない言葉に神威も虚を衝かれた形になる。

『X』18.5巻続き2

2017年09月22日 | SS
今日は肌寒かったです
すっかり秋なんだなぁと実感しました
以下ss続きです





封真の振り下ろした剣は神威をそれて地面に突き刺さっていた。

「ようやく気付いたようだな」

そう言った封真はどこか満足げで神威は自分の考えが正しかったと確信する。
あの時に願った事は、地球がどうなろうが関係ない…けど…封真と小鳥が幸せに暮らしていける場所を守りたい――だった。
裏にあった想いは自分がその為に死ぬ事になっても――。

「最初の選択が間違っていた?」

どこか呆然と言葉を紡ぐ神威を心配して昴流が「神威?」と声をかける……が、

「最初に小鳥と封真だけじゃなく俺も共に暮らす場所と言えばよかったのか?」

昴流の声が届かないのか神威はどこか遠くを見るような瞳で言葉を続ける。
昴流はとにかく神威を落ちつけようと名前を呼びながら左手で神威の右腕にそっと触れる。
優しい感触に視線を右に向けると心配そうな昴流の顔があって神威の瞳が揺れる。

「けど、丁はどちらを選んでも小鳥は死ぬ運命だと言ってたんだ!」

神威は起き上がりながら昴流の両肩を救いを求めるかのように強く掴むと言葉を続ける。
声は徐々に強さを増し最後には絶叫に近い声音になった。
告解にも似た神威の告白に昴流は苦痛を受け止めたような表情になる。

『X』18.5巻続き1

2017年09月13日 | SS
CLAMP『X』18.5巻ドシュっという音からの続きを自分の願望で書いてみました。
稚拙で乱雑な文章ですが愛はしっかり込めてます。
当然、原作は準拠してますが昴流くんを激愛してるので彼が美味しい所をかっさらいます。
それでも良いと言って下さる方はお付き合いください。




後ろに不穏な気配を感じ空汰が避けようとした瞬間、右の脇腹に激痛を感じた。
振り向いた空汰が見たものは血のついた刀を持った嵐の姿だった。

「あ……ら……し?」

蒼氷と緋炎は『天の龍』同士の戦いになってしまった事で混乱の極みにいた。

「間に合うたか、伊勢の巫女。いや、もう巫女ではなく妾の人形か」

丁に向き直り説明を求めた蒼氷と緋炎は「お前たちも妾の人形となれ」という言葉と共に夢に飲み込まれる。
最後に丁は嵐に「それを壊せ」と命令すると自分自身も夢の中に消えた。
空汰は先ほどの丁の言葉を反芻していた。
確かに嵐はいつもは左の掌から出す為左手で持っているはずの剣を右手で持っている。
しかも『ご神体の剣』ではない、いたって普通の日本刀だ。
どこか焦点の合わない瞳。そのくせ確実に、こちらの急所を狙ってくる。
空汰は独鈷杵を取りだすと嵐の剣先を受け流していった。



今日はこの辺で