「奥さん」

　入り替わっているのは、職場の他者だけではない。近所でも、「入れ替わり」が行われている。「奥さん」とは、おそらく、マインドリーダに思考を読まれるのを防ぐために「ウチ」が、用意した身代わり、影武者のような他者。「ウチ」が小生を悪者にする理由にも利用されている存在ともいえる。もちろん、この他者とは、「ウチ」の誰か一人を指す。ある家庭の主婦を指し、隣人の主婦である。

　「奥さん」は、20年前から存在している。隣人の主婦の振りをして、小生の前に、何回か、現れた。20年でたったの数回である。一年に一回、遭遇するかしないかなのである。

　最も興味深いのは、20年以上もたっているのに年をとっていないのである。入り替わっているので、当たり前であるが。この「奥さん」の現在の推定年齢は、50代か60代と思われる。しかし、入り替わっている「奥さん」は、20代。

　髪型がロングだったり肩までだったり、顔にそばかすがあったり、口に障害が有り、あまり、上手に話せない女だったりする。

　今朝は、口に障害がある女だった。ちょうど、目を覚ます時に外でどっこかの主婦?と話をしているようだった。何しろ、共用通路側に部屋があるので声が聞こえてきてしまうが、普通に話をしているのであれば、はっきりと、話している内容がわかるほどは聞こえないはずである。

　地震があった３月１１日の午後に外に出ていたのは、口に障害がない女で、一人で騒いでいるようだった。この女は、「奥さん」ではなく「あの子たち」と思われる。非常階段を下りて行く人に、「大丈夫ですか」と声をかけたが、返事はもどっこなかった。小生には、住民に嫌みを言っているように思われた。自分のことも、ちゃんと面倒見れない人間が人助けなのどできるはずがない。

　「奥さん」と「あの子たち」は、顔だちが似ている。「奥さん」は、20代以上であるが、「あの子たち」は、10代の未成年がいる。また、隠れ家も、同じである。


　
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