住宅総研Vivien研究員の業界REPORT

リクルート住宅総研の研究員が住宅業界の最新動向をレポート。
‘豊かな住生活’実現にむけ国内外の情報を取材発信します!

MilanoSalone 2011報告⑦ C・ラクロワに遭遇!SICIS、MOROSO、日本企業・・・

2011年04月12日 | Milan 2011
Mr. Christian Lacroixと言えば皆さんご存知の仏ファッション・デザイナー、私が思い出すのはフランスで乗ったTGVがLacroixデザインだったコレ(Blogリンク先)。
そんな大御所を家具デザイナーとして起用したのは伊モザイクタイルの大手SICIS。今までもタイルを取り入れた斬新なチェアーなどを展開してきたが本格的にファニチャーシリーズ「SICIS Next Art」を発表。
ビザンティン帝国の皇后Theodoraをミューズとし、そのモザイク壁画が展示空間を別世界にする。   MR.ラクロワ自身とツーショット、Lucky!!
  
モザイクタイルで有名なArles地方出身で、タイルに造詣が深いラクロワ氏を家具デザイナーとして迎えたという事。壁・床のタイルデザイン、照明まで全てLacroixデザイン。
  
この世界観は一般的な日本人には受け入れ難いかも知れないが、私は大好き!! 
Home用のコレクションだが、日本ならレストランやホテルに使ってくれれば嬉しいなぁ・・・そこで私も寛いでみたい!
日本ではトーヨーキッチン社がSICISのモザイクタイルを扱うが、ラクロワ家具についてはまだ未定とのこと。

こちらMOROSOでは日本人デザイナーに注目。 毎年イタリアで大人気の吉岡徳仁の作品は「MEMORY」という中に「Moon chair」が入ったプロトタイプ。
 
nendoの作品をMOROSOでも発見、「Pond」は裏面のデザイン模様をミラーで映し出すテーブル。見る角度や重ねるテーブル枚数によっても絵柄が変化。池の水面に移る景色がイメージされる・・・佐藤オオキ君、繊細で素敵!
   
Patricia Urquiolaは超売れっ子あっちこっちで作品を見るが、この「Biknit」は座椅子感覚のチェアが日本的。ニットの女性らしさも巧いなぁ。右は「Kiaraコレクション」。
  

さて、Fiera国際家具見本市会場に出展している唯一の日本企業と言ってもよい4社KARIMOKU・MARUNI・Yamakawa・Ritzwellの合同ブースへ。
(昨年まで経産省の支援事業sozo.comとして出展。補助無でも継続する予定だったが、今年は別の形で補助を得られたようだ)
右、MARUNIの山中取締役、昨年までの出展で英国・北米など世界各地からの取引が増え手応えがあるも
今年の震災で、FukushimaとHiroshima(本社)を間違われて風評被害的な事もあったらしい。
   
新作、左が「Lightwood」Jasper Morrison と 右が「Roundish」深沢直人のデザイン。ビーチ材が美しいラインに。
     
Yamakawa RattanはHiroomi Taharaの新作や、赤い籐のチェア「PetalLoungeChair」が印象的。 右のRitzwellもミラノ出展でNYやドバイでの実績につながったと
     
カリモク家具は、こちらの見本市会場と市内のインスタレーションと2カ所に出展。
ここでは、Next JAPONISMと題しキモノ作家である斉藤上太郎(右)を家具デザイナーに採用。‘火と水’をモチーフにした西陣織のファブリックをデザインしカリモクの木工技術とコラボ。
 
「会場をお堂に見立て、お供物のように椅子を並べた」と斬新な発想を話してくれた斉藤氏。
本物の伝統技術と新しいデザインが調和して、外人ウケだけでなく日本の住宅にも置いてみたい一品だ。
(イタリアメーカーも織りのファブリックだったよなぁ・・・日本代表は1200年の歴史ある西陣織だ!)

C.ラクロワといい、キモノ作家といい、ファッションとインテリアのデザインに壁は無くなっている。

MilanoSalone 2011報告⑥ i Saloni 家具[design]パビリオン

2011年04月12日 | Milan 2011
i Saloniの核である国際家具見本市[Salone Internazionale del Mobile]に突入!中でも伝統のあるHighBrandが並ぶ【design】カテゴリーの5・7番パビリオンから。

1961年の初回からサローネに出展している老舗GIORGETTI。60平米の大ブースで新作を披露。
  
アースカラーの地色にゴールド(シャンパン色)&サックスブルーが今年の差し色。
   
左の超幅広一人用(?)ソファも薄いブルー、二客の間にテーブル。   今年の特徴として、フォルムの曲線が女性的で美しい印象。
    
クオリティの高い素材感たっぷり、織のファブリックが目立った今年(ヘリンボーンの織物に皮を合わせるなど)。
    
昨年の新作(右)も今年は織生地で登場。(ちなみにジョルジェッティのカバー生地は皮でも織物でも何でも選べる)

展示の目玉は、デザイナーChi Wing Lo氏によるwalnut(クルミ)canalettoのシリーズ。「INO」はBarキャビネット、美しい木目の両扉を回転すると眩いゴールドが現れる。 
 
 
ご自身の横、ケースに収められているのは、彼の絵画本『TO KARDIZU』のイメージを一つ一つ彫刻として具現化した作品(メイプルとブロンズ)。
天才芸術家の哲学を私の英語力で理解するには無理があったが、様々な現象の二面性を説いておられたような・・・
今回最初の4体が展示され、宛ら美術館の雰囲気が見本市ブースに漂っている。全13のオブジェクト、完成する時を愉しみながら制作に取り組まれている様子のLo氏(香港生まれ、アテネ在)。 
そんな天才は、こんな遊び心も!LED照明が回転するボールと共に七色に光る中華テーブル。「二階でスナックでもどう?見せたいものがあるから」とブース二階の商談用Bar(これが毎年素敵!)に招いてくれた・・・ 
 
そこで見せて下さったのは、何と‘麻雀パイSet’。大理石とWalnutの滑らかなパイに優しい緑や橙色で描かれた模様に感動~!(麻雀を知る日本人に見せる事ができて嬉しそうなLo氏)20セットまとめ買いの中国人もいらっしゃったとか・・・お値段不明。


続いて、Minottieもブース内は風格漂うファニチャーで彩られ見本市会場である事を忘れる空気が流れる。
   
こちらではオレンジとグレーが差し色に使われていた。
   
  
大きな千鳥格子が新鮮。Minottiでも織り生地が強調されている。
    


ファッションブランドFENDIは家具FENDI CASAも最高峰ブランド、毎年このブースはドキドキする!
‘シャンパン・イエロー’‘ペール・グレー’‘アイス・グレー’‘ブロンズ’などの繊細な色合いが生活空間を洗練しエレガントに彩る。
中、手前のコーナーカウチは皮のステッチが新鮮。
   
ミンクやフォックスの毛皮がさりげなく掛けられているのもFENDIの設え。
  
照明や小物まで全て‘TheFENDI’で仕上がる。
  
クラッシックなコンテンポラリーからモダンなデザインまで意外と幅広い。 光沢があるタイプはラッカー仕上げの木製(決して樹脂ではありません)
  
左手前、馬具をモチーフにした腰掛。  TVも内装にインストールする事で(TVメーカー名が見当たらない・・・)空間が俗っぽくならない。クロコ皮のTV台なり。
 

FENDIと同じグループ企業がKENZOの家具KENZO maisonも持つ。(今年40周年を迎える、現在高田賢三さんはデザインしていないが)
40周年記念展示は、この「RISCIO'」というソファを花車に見立てて。クッションを留める黒いバンドは‘帯'らしい・・・いかにも西洋人が考える東洋。
 緑のサイドテーブル「YOKO」も新商品
KENZOでもサックスブルーが見られた。(「GU DUN」オットマン) 
  
華やかな色合いがKENZOらしい展開。重ねると八重の花のようなお皿も素敵。
   


その他のブランド、写真でダッシュ・・・・
GERVASONIでもオレンジが印象的に使われていた。
  
   

FLEXFORMも織りのカバーリングが印象的。
   
    

Poliform、カッコイイ収納システム。 
  

alfrex


真っ白な空間も健在、Zalf/desiree
  






MilanoSalone 2011報告⑤ [Euroluce] FOSCARINI・Artemide・MODULAR

2011年04月12日 | Milan 2011
FOSCARINIは市内ショールームやTortona地区のインスタレーションなど4か所で展示。
Euroluce見本市会場のブースでは新商品がデザイナー自身による紹介ビデオで展示されていた。

  
その中で見つけました!私の好きなデザイナーnendoの「MAKI」というペンダント。2枚の紙を丸めた形でMAKI(巻き、女性の名前では無く)。ビデオには説明する佐藤オオキ君が。巻いた隙間から漏れる光が優しくて、日本人らしい繊細なデザイン。
 アルミ製

こちらも大手のArtemide。街頭など商業用から家庭向けまでフルライン。
 
LEDの寿命が建築物と同じ位までなので、左のように建築と同化する照明も増えてくる。右2つ、光の反射させ方も多彩。
   
  
  
これはゴルフ場でウケそう!(右、下から眺めると・・・) 
  

ベルギー大手のMODULAR、Tortona地区にあるショールームに行ってみた。 未来的な大型ペンダントがお出迎え。
 
ここでは新商品を、ドラマーを照らす照明としてブース毎に展示。
LEDディスクで、3Dに角度を動かすことができるScotty(中)とSpock(右)5万時間以上照らし続ける。
  
(Philipsのブースにも似たようなのがあったなぁ・・・と思ったら、2004年にグループ化されたという事)
ちなみに、この商品名にお気づきでしょうか?映画・ドラマ「StarTrek」の登場人物!カタログもスタートレックしています!!
下は「Cake」に続いて出た「Souffle(スフレ)」というペンダント、柔らかい光が美味しそう~! MODULAR Japanの中島春喜社長と本社のJ.Bekeマネージャー。
   
設立当初からアバンギャルドな企業カルチャーが根付いている企業らしく、ショールームの雰囲気も上のお二人もカッコイイ薫りがプンプンです。

MilanoSalone 2011報告④ ムラーノガラスからポリカーボネートまで多彩な素材のLED照明

2011年04月12日 | Milan 2011
LEDが光源になった事で、照明器具に使える素材の選択肢が広がり面白くなっている。
イタリア伝統のムラーノガラスはシャンデリアを中心に健在だがこんなポップなデザインも(某日本人クリエイター作かと思いきや仏デザイナーだった)
SLAMPというメーカーは特殊なポリカーボネートで様々なLightingを展開。ポリカーボネートのシャンデリアも!
        
木を素材にしたものは、こんな繊細なデザインが沢山。 中、右は北欧デンマークメーカーTomrossauによる木(ビーチ材)の照明。
       
クリスタルやスワロフスキー使いでは、女性らしいデザインから未来的なデザインにも。
     
ガラスと金属の組み合わせは定番の一つであるが、ハンドメイドのクラフト的な曲線が美しい(左)。
     (VG)
 この柔らかいチェーンにもうっとり・・・
直線的なLEDでも、こうやって遊べる。         右はニットを被せたペンダント。
 (&'COSTA)     
陶器で角を表現。 こちらはバブル、泡をデザイン?  赤玉はふわふわ毛風ですが樹脂でした・・・
    
折り曲げ自在なデスク照明や、紙のクラフトを照明に使った作品も並んだ。
   

スペインのVIBIAではトレードマークのAmebaが商談ブースの天井を飾る。Wallライトを複数組み合わせ「Origami」と名付けられていた(スペイン人デザイナー)。 
 
Outdoor商品が面白い!ファイバーグラスとアクリル樹脂が素材の「Wind」シリーズや、「Halley」は二つを交差させたり組み合わせもできるデザイン、足元が重ねられるように大小の○になっている。
   これもOutdoor用 


MilanoSalone 2011報告③ Euroluce「Barovier&Toso」・・・ヨーロピアンシャンデリアの世界

2011年04月12日 | Milan 2011
Euroluceの中では‘THEシャンデリア’の光を浴びてこそ、これぞイタリア!を実感できる。
「Barovier&Toso」はそのリーディングカンパニー。昨年のTorotonaでのインスタレーションには圧倒されたが今年の見本市会場ではビジネスモード。
 テーブルランプRanは6色 
Athenaというフロアランプは珍しくモダンなデザイン。今年のテーマ‘gold’が練りこまれたガラスによるManhattanRemixやAmsterdam。私の写真じゃ分かり難い・・・Gold=24金デス
 
シンプルなシェードの中に、ガラスの花がイッパイ咲いている!女心をくすぐる!!Eden(これもLED)

巨大シャンデリアはDurini通りのショールームに、今年のテーマカラー‘Gold’で飾られているという事で覗いてきた。(これ、去年は青だった)
  スタンドの足にGoldがリッチに散りばめられていた


「Barovier&Toso」以外にもシャンデリアを見せるブースが並ぶ。ボヘミアン・ガラスのIRIS CRISTAL。右端のは30㎝程の小さなものだが、これでも一つあれば空間が豊かになるに違いない。
  
商業施設用の大きなものから、モダンな空間にも使えそうなデザインやアートっぽいものまでシャンデリアの幅も広い。
  
  
   
ムラーノガラス、クリスタルな輝きを浴び続けるとウットリしてきて・・・脳が麻痺しそうな感覚になってきた。


MilanoSalone 2011報告② [Euroluce] LED照明のデザイン性がUP!

2011年04月12日 | Milan 2011
i Saloniのフィエラ会場にはPavilionが24もあり、2-3日で全て見るのは到底不可能。
【出展社数:2,720社、 出展ブース面積:210,500平方メートル・会場総面積:530,000平方メートル】
主な家具メーカーを中心に周るのだが、今回は初めての[Euroluce(国際照明見本市)]を早速見ることにした。【450社】

『FLOS』のブースにて、FLOS JAPAN代表のMR.Austin。私が立っている看板はFLOSが起用する代表的デザイナー達がペンキ塗りになった絵。
 M.WondesrsやP.Starckも
デザイン系の照明器具は未来的なデザインや、iPhoneやiPadホルダーと照明が一体になったものも。FLOSではiPhone・iPadで室内照明をコントロールできるシステム「iQ」も紹介。
  (P.Starck)
LED化する中で、木や石などの素材感を強調する器具デザインも多い。
 色柄のある大理石を照らす間接照明
LEDの蛍光管を曲線でデザインしたり、多灯使いで壁面を飾る。WALLPIERCING(R.Gilad)は複数のアウォードを受賞した作品。
   
P.Urquiolaのスタンド&ペンダントは彼女らしい樹脂だけどニット感なデザイン。
 
M.Wondesrsの「CAN CAN」も大/小、可愛かったが、「CHRYSALIS」‘さなぎ(?)’と名付けられた2mの大きな花瓶型フロアランプは、天井に花模様を浮かび上がらせる‘magic vace’。FLOS原点の繭製なのが‘さなぎ’と関連か。
  


こちらは欧州最大手『PHILIPS』、日本の住宅照明へ進出という事で関心が高まる。住宅街のようなブース構成で、各戸にシーン別の製品を展示。
 ‘ambience’、雰囲気のある照明をテーマに空間提案していた。
CD盤のようなシャープなデザインから、アウトドア用のキュートな照明はポータブルに持ち運べる(LEDカラーで気分も変えて)
 
ロフトを設けた2階建て風空間では、手元コントローラーで1-2階全ての照明を調光からカラー選びまでできるのを実演。
  
プロダクトは有名デザイナーを前面に出す手法ではないが、流石最大手、面白いデザインも多い。
  
     

斬新なデザインや色の活用など、LED照明は省エネ・長寿命の性能競争から
何が表現できるかのデザイン性でしのぎを削る時代に入っている。日本は出遅れているかも・・・・