桃の木は成長が早いのですね
何年か前に私が挿し木したものでもう大きく成長し枝を伸ばして
花を咲かせています

庭の隅っこに一輪咲いていましたハナニラ
もうとっくに消えたのかと思っていましたのに

もう随分以前のことです 寂しく思い出すのです
末期の胃癌だった兄は自宅で最期を迎えたのです
後を追うように兄嫁も逝ってしまって
そんな悲しいお別れをしていたころ
私は誰もいないことがわかっているのに兄の家に電話をかけて
兄がおもむろに椅子から立ちあがって
そろそろ電話機に向かう頃と想像をしながら
私は受話器を耳に近づけて
電話の接続する音を聞くだけで勿論誰も出てはこないのに
そんな動作は
電話を掛ける前より一層私の心は寂しくて哀しくなってしまうだけなのに
何度かそんな動作をしてしまっていたものです
兄は病状が悪化していくなか
自室に花の鉢を並べてお花の世話をしていました
それはまるで自分に出来るこの世での
最後の慈しみの動作だと言っているかのようでした
兄たちが逝った三月こんな時期になると
むなしくも悲しく思い出してしまうのです
何年か前に私が挿し木したものでもう大きく成長し枝を伸ばして
花を咲かせています

庭の隅っこに一輪咲いていましたハナニラ
もうとっくに消えたのかと思っていましたのに

もう随分以前のことです 寂しく思い出すのです
末期の胃癌だった兄は自宅で最期を迎えたのです
後を追うように兄嫁も逝ってしまって
そんな悲しいお別れをしていたころ
私は誰もいないことがわかっているのに兄の家に電話をかけて
兄がおもむろに椅子から立ちあがって
そろそろ電話機に向かう頃と想像をしながら
私は受話器を耳に近づけて
電話の接続する音を聞くだけで勿論誰も出てはこないのに
そんな動作は
電話を掛ける前より一層私の心は寂しくて哀しくなってしまうだけなのに
何度かそんな動作をしてしまっていたものです
兄は病状が悪化していくなか
自室に花の鉢を並べてお花の世話をしていました
それはまるで自分に出来るこの世での
最後の慈しみの動作だと言っているかのようでした
兄たちが逝った三月こんな時期になると
むなしくも悲しく思い出してしまうのです