風は冷たさを感じますが陽ざしに何となく春近しの感を抱きます
これから節分そして立春と確実に春は巡ってまいります
この時期の冷たい風にふと懐かしさを覚えることがあるのです
それは琴が好きだった私に「六段」の曲が弾けるようになるまで
わが手で育てたいと母は思っていたのでしょう
母は琴の調子を合わせることから手ほどきしてくれたのですが
お稽古が終わるとその琴柱を全部方付けて仕舞うのです
現今では便利な調子あわせの機械があってそれによって調子合わせが
できますが当時では全て自分の耳を信じるだけでした
方付けられた琴柱は次にはそれを立てて稽古の準備をするわけです
始めころは音もしっかり区別できないし指先は冷たいし悲しかった
ことを思い出します
でもそんな初期段階があったからこそ一生自分の耳で調子を合わせる
ことができるようになっていることに感謝するのです
遠い日の思い出です
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これから咲きます