初めて自転車に乗れるようになって嬉しくてたまらなかった頃のことです
夏休みの早朝に自転車に乗って近所の公園でスピードをだしたり緩めたり
自分の世界で楽しんでいました
さあ帰ろうと公園を出た途端に自転車とぶつかってしまいました
相手はパン屋さんの自転車です
昔のことですから木の箱に商品のパンをたくさん入れて自転車で配達していて
3箱積まれていたと思います
あの時代は作り立てのパンを美味しく見せるために艶やかなものがパンの
表面に塗ってありました
そのパンが衝突して路面に落ちてしまったので艶やかに塗られたパンの表面が
ぎっしりと砂にまみれてしまいました
私も当時中学生で咄嗟のことで “ゴメンナサイ”としっかり謝りました
配達の少年も泣きそうになっていましたが彼もどうしようもなく砂にまみれたパンを
拾っては箱に入れていたので私もお手伝いしました
丁稚さん風の少年はきっと店に帰ってうんとうんと叱られたことでしょう
何しろ商品にならなくなったのですから
その為に店を辞める羽目になったら可愛そう
一日中胸の痛む日でした
今のようにパンがビニール袋に入っていたら被害も最少に止めることもできたでしょうに
あれから3年くらいしてようやくナイロン風呂敷が家庭でも見られるようになりました
現在のようにビニールを便利に使えるようになるのはもっと後のことです
パン屋さんゴメンナサイ!
丁稚さん済みませんでした
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