若生りえ Jazz Songs & Diary

ジャズ歌手の若生りえがジャズスタンダードソングの歌詞やエピソードについて語る。
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阿久悠さんと私の勘違いショッピング

2008年11月16日 | ジャンルを越えて ~音楽大好き!!~
阿久悠さんといえば、『津軽海峡・冬景色』をはじめ、『雨の慕情』、
『あの鐘を鳴らすのはあなた』、『狙いうち』、『UFO』・・・。

いまだにどの世代でも、題名や有名な部分を言えば歌えるという、
数々の名曲を生み出した、言わずと知れた大作詞家です

「映像の浮かぶ歌(10/30)」でも書かせていただきましたが、
歌っているとその情景がうかんできたり、かと思うと
まったく想像もしていなかった世界へ連れて行ってくれたり、
それぞれの世代や人生の過程で、阿久さんの歌との
思い出がある人は多いと思います

昨年なくなられた時、テレビでもあちこちで特集をやっていました。

私はちょうどその前に、阿久さんのヒット曲の誕生秘話が書かれた本や、
曲作りの源にもなるという独自の「日記」をテレビで公開されていたのを
興味深く観ていたので、とてもショックでした。

特集のテレビでは、連日のように数々の歌手や音楽家のインタビューの他に、
ヒット曲の誕生秘話もここでもやっていました・・・。

改めて流れてくる映像を眺めていたら、次の瞬間、
私の目を釘付けにしたものがありました。

阿久さん直筆の『歌のタイトル』でした。

普通は縦書きの原稿用紙に、1列、1マスに、1文字ずつ埋めていきますよね?

それが阿久さんの文字は、1文字の大きさが約3~5cmはあり、
その一文字一文字を、まるで習字の筆で書いたような
独特な太さを自分で付けて書いている「独自の文字」なのです。

急いで数えたら、タイトルのための行数はざっと10行!!

その横に名前の刻印が押され、歌詞が書いてありました。

おなじみのヒット曲のタイトルが、すべてこのような感じで
書かれている数々の原稿が画面に映り、
その文字をぱっと見ただけでも原稿用紙が、まるで
1枚の絵のように見えてきてしまうような素晴しさでした

また、それだけ、ご自分の作品を大事にされ、
愛着をもっていらしたのもよく伝わってきました。

私はその文字に非常に感動し、
同時に半年ほど前から見当たらず、探しても見つからない
『モンブランの万年筆』のことが頭の中をよぎりました。

英語の歌詞を覚えるのにも、目上の方にお手紙を書くにも
いつも一緒だった、誕生日にもらったお気に入りの緑の万年筆・・・。

ネットで調べても同じものはすでに完売してしまい買う事もできず
それでもあきらめ切れなくて探しているうちに、出会ってしまったのです

『限定 モンブラン万年筆 ヘルベルト・フォン・カラヤンモデル』

そう、あの世界的指揮者『カラヤン』の限定万年筆だったのです

持ち手は黒でいかにも『大人の万年筆』という風格の中にも、キャップの部分に
ピアノの鍵盤とカラヤンの指揮棒がモチーフになっていました。

「音楽家って感じだし、やっぱりこの先いい仕事をするためにも
 1本は持っておきたいな・・・。」

なんて、この時はまだ、この先に待ち受けている
『勘違い劇場』が始まっていたとも知らずに・・・。

しかし『分不相応かなぁ・・・。』などと、値段も値段だけに
なかなか即決できず、来る日も来る日も「カートに入れる」
ボタンを押せずに半年が過ぎていました。

でも阿久さんのあの文字を思い出すと、その気持ちはますます膨らむばかり。

ある日、昨年の東北楽天イーグルスがパ・リーグ優勝した時、
週末のネット限定セールでグッと値段が下がったのです。

『よし!私も女だ腹をくくってこれは1年かけて自分のものにしよう!』

毎月支払うことでこのことを忘れず、1年後、ちゃんと
前進しているように、自分を試す意味で一緒に頑張ってきました。

そしてとうとう今月、やっと自分の物になりました

今では更に愛着がわき、毎日使わない日はありません。

実は、このことは、その前に家族からプレゼントされた万年筆を
失くしてしまったので、両親にはおろか、なんでも話せる
仲の良い姉たちにさえも言えず、誰にも内緒にしていました

でも今日、カミングアウトしちゃいましたご家族の皆さま

しかし、この物語りはまだ終わっていなかったのです・・・。

万年筆を買ってからも、阿久さんに関係する情報を調べたり
読んだりしている中で、ご本人のあるインタビューが載っていました。

『そうですね・・・。よく原稿を書くときはやっぱり万年筆ですか?
 なんて聞かれるんだけど、僕はインクが乾く時間がもったいないから
 万年筆は使わなくて、ずっとこのサインペンを使っているんです。』

え・・・?阿久さん・・・、あれって、

万年筆じゃなかったんですかぁ~~~ 
                                    
そしてそこには長年ご愛用の、
本当に普通の、何の変哲もないサインペンが。

しかもお値段100円            
             
あまりのショックに、阿久さん作詞、ジュリーの名曲
『勝手にしやがれ』の最後の部分が流れてきました・・・。

♪あ~あ~、あ~あ~~、あ~あ~~、ああああ~~~~

でも、毎日使ってるし、いいんだもんっ

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3 コメント

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なんて言っていいのか・・・ (ゆっぴー)
2008-11-16 16:44:45
思い入れのあるモンブランの万年筆。

そんなエピソードと落ち話があったなんて・・・

私も時折手紙を書くのですが、紙質やペンによって文字の感じが違って見えます。
友達には、今日の字は優しさが出てるとか、安定していないとか言われるので、けっこう気にしてはいるのですが、気に入ったものに出会えません。

りえさんが、出会えたお気に入りの万年筆ステキですね。
おしゃれだし、音楽をされている方が持たれるのにぴったりのデザインだと思います。

それにしても、阿久悠さんの文字、『一枚の絵』ってどんなものだったんでしょう?見てみたいです。
私の宝ものにしている貞夫さんからのハガキには、まもうことなく、万年筆の書きなれた文字でした。内容はどうってことないのですが、文字がかわいいので目立つところに飾っています。


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背中を押してもらったのですね (ひまわり)
2008-11-18 15:03:18
随分と悩んだ末に思い切って購入
きっと大事にされますよ
迷って迷って誰かが「買っちゃいなよ」と言ってくれれば勢いで買うもので。
それがたまたま阿久悠さんだったと
よかったじゃないですか


いいものを大事に使う。
素晴らしい考えだと思います
名前も入れてもらったんですね
どうぞ肌身離さず末長く・・・

返信する
アップデート... (kariyas)
2012-08-29 22:15:56
あはは、楽しい!この記事、アップデートするなら、何をさておいて「富士山だ」も書き添えておかないといけませんね(笑)
万年筆をお使いなのは承知していましたが、インクはモンブランのローヤルブルーだったんだ。今から当日が楽しみ、万難排して馳せ参じます。
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