若生りえ Jazz Songs & Diary

ジャズ歌手の若生りえがジャズスタンダードソングの歌詞やエピソードについて語る。
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ジャンルを越えて

2008年11月01日 | ジャンルを越えて ~音楽大好き!!~
もう4ヶ月近く前のことでしょうか。

「ノヴェンバー・イレブンス1111」という、
宇崎竜童さんと阿木燿子さんのお店で
ライブをやらせていただいたことがあります。

前評判どおりご飯もとても美味しく、
あたたかい雰囲気の中で歌わせていただきました。
その時のメンバーは私のほかに、
ギターとベースの3人という珍しいメンバー。

人数は少ないものの、私の他には、日本でも
トップクラスの屈指の技術を持ち、またアレンジャーとしても
素晴しいギタリストの細野よしひこさん。
そしてベーシストは、バークリー音大では奨学生として学ばれ、
海外での演奏経験も非常に多い佐藤慎一さんという、
超強力な演奏に支えられていたので、
何の心配もありませんでした。

そして私はこの日、ずっと自分の中であたためてきた
「ある曲」を歌うことにしました。

ジャズのライブハウスは基本的に原語で
なければいけないわけですから、
当然、ジャズ以外の曲はNG、ましてや
日本の歌なんてもってのほかです。

しかしこの日は日本の音楽シーンでご活躍されている
宇崎さんと阿木さんのお店です。

「この日しかない!!」

「この曲」との出会いは意外なものでした。
2000年に放送された「私の青空」という
NHK朝の連続ドラマで、舞台は、
青森県津軽はマグロで有名な町、大間。
そこのマグロの漁師の娘「なずな」がシングルマザーとして、
子供を育てながら彼女も成長していく姿を描いたものです。

その中で漁師で無骨ながらも娘を誰よりも心配している
ガンコ親父の伊東四朗さんが、ある時はなずなに歌ってきかせたり、
またある時は一人でなにかを思いながら歌ったり、
ドラマの中で折に触れて何回も歌われていたのです。

「りんご~のふるさとは~」という出だしからはじまる、
アカペラで歌うその旋律は、地方に伝わる民謡なのか、
古い日本の歌なのか、とにかく懐かしい匂いのする魅力的なもので、
いったいなんという曲なのだろう?とずっと思っていました。
そしてドラマが進むにつれてこの曲が、あの美空ひばりさんの
「津軽のふるさと」という歌だということがやっと分かり、
その日にCDを探し買い求め、早速聴いてみました。

『りんごのふるさとは北国の果て。うらうらと山肌に抱かれて夢を見た
あのころの思い出、あぁ、いまいずこに・・・』と続きます。

津軽の厳しくも壮大な、それはまた父のような母のような、
そんな自然の中で育った娘を描いたこの歌は「なずな」と重なる部分もあり、
ドラマで使われた意味が分かったような気がしました。

私はひそかにずっと家で歌っていました。そしてとうとうこの日、
8年間、ずっとあたため続けてきたこの曲を歌ったのです。

私のこの歌への思いと、ぜひ歌ってみたい・・・ということを
おそるおそる伝えたところ、ジャズ界の先輩2人は
快く引き受けてくださり、歌えることになったのです。

ジャズの中にいきなり1曲だけ、日本のしかもずいぶん前の
この歌がお客様に受け入れられるのか、すこし不安でした。
しかし歌い終わった後、驚いたことに、やはり
この歌がいいと思っていた方が何人かいらして、
また初めての方でも日本の歌ということもあり
「こういうのもいいわね!」と言って頂き、ほっとしました。

     またいつか、あの歌が歌えたらいいなぁ・・・

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