交渉成立後売買当事者は契約書を作成し、相手側に送付し署名を求めます。通常自社作成の契約書式特に裏面約款(いわゆるGeneral Terms and Conditions)は自社に有利になっています。従ってこの約款を巡り、この段階で紛争を生じる事がままあり、これを「書式の戦い」battle of formsと呼んでいます。このような事態が起こる理由は、契約交渉中は裏面約款、すなわち一般的取引条件を早い時点で持出せば取引が成立しない事を恐れ、お互いにふれる事なく交渉を進め、合意成立後初めて持出すからです。
この問題は当事者間で話合い、解決するのが通常のやりかたですが、どうしても合意の成立が難しい場合は、原点に立ち返り取引をするメリット/デメリットを検討の上、取引を行うか否か最終的判断をする事になります。実際問題として裏面約款の不一致はそのまま残しながら、表面約款の合意をもって取引をすすめる事も多く見られます。
当事者間で合意が成立しにくいところは、クレーム (Claim)、不可抗力(Force Majeure)、知的財産権 (Patents, trade marks, etc)、製造物責任法(P/L)、準拠法(Governing Law)などが多いようです。
その他の実例として、政府機関やそれに準じる機関は自己契約様式の採用を絶対条件としている場合があります。このような相手と取引を行う場合はその条件を受けざるを得ない場合が多いかもしれませんがが、受入れがたい条件については相手と交渉すべきでしょう。
実務上留意すべきポイント
1)先ず、自社様式で契約書を作成し、相手側の書名を求めます。
2)相手側作成の裏面約款で同意出来ない部分に斜線を引き、同意出来ない旨の意志表示をします。
3)上述の通り、契約条件に関する合意が成立しない場合、原点に立ち返り、取引を行う場合と、行わないばあいとどちらかがメリットがあるか判断の上決断します。実際は不一致の部分を残しつつ、表面約款の合意に基づき、取引を継続する場合も多いでしょう。問題が発生しなければそれで良いのですが、問題が発生し仲裁や裁判で解決しようとする場合必ずやっかいな状況になります。相手先フォーム使用の場合や裏面約款不一致のまま取引を進める場合は、必ず経営幹部の承認を得ておくべきでしょう。
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