この記事では、エホバの証人が信じていることについて紹介していきます。
今回は、エホバの証人の出版物である「聖書は実際に何を教えていますか」という、いわゆる「教えの本」に書かれている内容をもとに解説します。
エホバの証人は、前回の記事にも書いたように「エホバ」とよばれる神様を信じています。どのような神様なのかというと、「公正を愛する方」(詩編37編28節)、「神は愛」(ヨハネの手紙一4章8節)、「全能者である神」(ヨハネの黙示録15章3節)、「憐れみ深く、恵みに満ちた神。怒ることに遅く、慈しみとまことに富」む方(出エジプト記34章6節)、「恵み深く、赦しを与える方」(詩編86編5節)などと紹介しています。
また、世の中には悲惨なことが起こると神のせいだと言う人がいます。「Oh my god」という言葉に表されていますね。エホバの証人では、「神は決して悪を行わず、全能者は不正を曲げることはない。」(ヨブ記34章12節)という聖書の言葉から、悪い事柄は神から来ていることは決してないと教えています。
聖書は日本人にとってなじみが無いですが、聖書全体または一部分が3,000以上の言語で出版されているため、世界人口の90%以上が聖書を読むことができると紹介されています。聖書自体は、1,600年以上の期間をかけて、30人以上の人が書いたという、時代も筆者も異なる66の本や手紙を集めたものです。書物自体は人間が書いていますが、「人々が聖霊に導かれて、神からの言葉を語ったもの」(ペトロの手紙二1章21節)だから、神からの書物とされています。エホバの証人で使われる例を使うと、ビジネスマンが秘書に手紙を書かせても、その内容はビジネスマンの考えと指示が含まれています。そのため、実際に手紙を書いているのは秘書ですが、それは秘書の手紙ではなく、書かせた人であるビジネスマンの手紙であり、聖書についても同じ考えで、書いた人の言葉ではなく、神の言葉である、ということです。
人間の成り立ちについて、日本では進化論が一般的ですが、聖書では神様が最初の人間アダムとイブを創造したと書かれています。神の目的として、人間が子供をもうけ、住む場所として与えられた楽園(エデンの園)を地上の全域に広げ、動物たちの世話をすることと教えています。
聖書には、神の反対者である「いにしえの蛇、悪魔ともサタンとも呼ばれる者、全人類を惑わす者」(ヨハネの黙示録12章9節)の存在も書かれています。
このサタンと呼ばれる悪魔は、元々神に仕える天使だったものの、悪い欲望に駆られて悪魔となったとしています。
現在の世の中は全然平和ではありませんが、その原因は世の中を支配しているのが悪魔サタンだからだと主張しています。聖書では悪魔サタンのことを「この世の支配者」(ヨハネによる福音書16章11節)、「この世の神」(コリントの信徒への手紙二4章4節)とも呼び、「全世界は悪い者の支配下にある」(ヨハネの手紙一5章19節)と書いています。
この悪魔サタンを滅ぼすのが、皆さんも聞いたことがあるであろうハルマゲドンです。その後、イエス・キリストを支配者とする天の王国が地上も支配すると教えられています。
この天の王国が支配する新しい世では、悪、戦争、犯罪、暴力はなくなる。エホバの崇拝者たちは安心して生活することができる。食料不足はなくなる。地球全体が楽園になる。人間と動物の間に平和な関係が生まれる。病気はなくなる。亡くなった愛する家族が生き返る。その人たちには、決して死なないという見込みがある。そのように言われています。
ナザレのイエスとも呼ばれるイエス・キリストとは、おそらく世界で一番有名な歴史上の人物でしょう。この人物について聖書ではどう書かれているかを述べます。
イエスは元々天にいました。「御子は、見えない神のかたちであり、すべてのものが造られる前に、最初に生まれた方」(コロサイの信徒への手紙1章15節)とあるように、神による最初の創造物です。その後、神は人類を罪と死から救出するためにイエスを地上に送りました。
イエスは地上で、「御国の福音を宣べ伝え、民衆のありとあらゆる病気や患いを癒され」ました。(マタイによる福音書4章23節)つまり、神の言葉を伝え、様々な病気を治しました。反対者から侮辱され虐待されても仕返しとして危害を加えたりせず、最期まで神に忠実でした。死後3日目に霊の命として復活し、天の王国の支配者となりました。
イエスの死は、一般的には十字架に磔られたとされています。しかし、エホバの証人では十字架ではなく、まっすぐな杭だったと主張しています。イエスの死後300年間はクリスチャンと称する人たちが十字架を崇拝に用いたという証拠はないが、4世紀になってとある皇帝がキリスト教に改宗した際に十字架を用いるようになったとしています。それはなぜかというと、十字架は非キリスト教文化でも用いられていたため、異教徒にとって受け入れやすいからではないかと考えられています。
このイエスの犠牲は「贖い」(あがない)と呼ばれています。この贖いにより、人類は死から解放され永遠の命を得られる、とエホバの証人は信じています。贖いに対して神に感謝するために、毎年春に「主の晩餐」、「キリストの死の記念式」と呼ばれる式典を行っています。これはエホバの証人にとって一番重要な式典となっています。西暦33年、ユダヤ歴の「ニサンの月の14日」に贖いとしてイエスが処刑されたことを記念する式典です。これはエホバの証人以外の宗教でも実施していますね。実際、どこの宗教か覚えていませんが、チラシを渡されたことがありました。
本日はこの辺にしておきます。
また次回も教えの本から、エホバの証人はどのように教えているかを紹介します。