あなたの、夢を見ました。
昔の将軍みたいだから好きだと言っていた、
深い紅の学ランみたいなホテルの制服。
目深に帽子も被って。
あなたを忘れようと思う象徴なのか、
夢の中の私は見つからないように隠れてた。
いつもキメたような笑顔、仕草のくせに
『不意』に弱いあの人。
私を見つけてはにかんで
背伸びすれば長身のあなたの顔に届きそうな距離まで
ぐっと私に近づいて、
『僕も、あなたをずっと想っています』のひとこと。
ほんとうですか。
嬉しく思っても、いいですか。
あはは。私ったら、バカだね。
深紅の制服の彼が、仕事中でも
客の私を見つけると真っ直ぐな視線を投げてくれること。
上司同僚の目もはばからず、
真っ直ぐ私の元へ来てくれること。
堂々としてるくせに
ときにすれ違いざま耳元で、
『いつものところで待ってるね』
と囁くこと。
過ぎ去った過去たちがまた、
帰ってきてしまいました。
だれか、助けてください。
どんなに泣いても、もう
確かな今ではないのです。