2025/1/27にナチス強制収容所の解放80周年で国際ホロコースト追悼記念式典があったとの報道が多数あり。これらの報道には違和感があった。なぜなら、ほぼほとんどの報道が被害者としてのユダヤ人についてのみ報道し(もちろんナチによるホロコーストではユダヤ人は明らかに被害者である。)、現在のイスラエルによるガザやヨルダン川西岸でのパレスチナ人への行為については何も述べていないからだ。
広島・長崎への原爆投下は明らかな国際法違反の民間人への攻撃であり、大量虐殺である。にもかかわらず、アジアでは平たい言葉でいえば「ざまー見ろ」と思った人々も多かったと思う。日本の軍隊に多くの人々を殺され、国土を蹂躙された国は多かったからだ。だから広島・長崎の半核兵器運動で、日本の被害者の側面のみを強調しても日本がアジアで行った戦争犯罪を省みなければ説得力がないという批判は受け入れざるを得ない。
このような批判はユダヤ人による反ホロコースト運動にもやはり適用すべきと考える。イスラエルによるガザ・ヨルダン川西岸のパレスチナ人への行為はそれを批判すると反ユダヤ主義だと言えば良いと言うものではないと思う。
ナチス強制収容所の解放80周年で国際ホロコースト追悼記念式典があったと伝えるのみの報道の中で六辻彰二という国際政治学者の記事は比較的読みごたえがあった。その記事で”ネタニヤフには国際刑事裁判所(ICC)が昨年11月、戦争犯罪などの理由で逮捕状を発行していて、ポーランドはICC加盟国としてそれに従う義務を負っているいもかかわらず、ネタニアフを逮捕しない方針であること”・”ドイツ、フランス、イタリアはネタニアフを逮捕しない方針であること”を指摘し、これらの国はプーチンやスーダンのバシール大統領を逮捕しないモンゴル・南アフリカを非難したにもかかわらず、ネタニアフを逮捕しない方針であるという二重基準を非難している。
確かにこれらの態度を見ればこの記事が言っている”矛盾に満ちた態度はこれまで「言われっぱなし」だったグローバル・サウスの嘲笑を招きかねない。”という指摘は無さにその通り。 ”招きかねない”とは婉曲表現で”グローバル・サウスは大いに先進国の二重基準を嘲笑している。”というのが事実であろう。
私自身は国際法を支持し、ICCによるネタニアフ逮捕状発行を支持する。国際法へは上記のような二重基準の態度が存在するにも拘わらず、他に良い方法がないからだ。ネタニアフが日本に来ることは無いだろうが、日本政府はもし彼が日本に来たら逮捕すると宣言すべき。(しないだろうな。)比較的弱小国の日本には国際法に従いまた利用し生きていくしか他に方法がないからだ。それが日本の国益になると信じる。(2025/1/30)