日々雑感

韓国ハンギョレ新聞記事「韓国最高裁は日帝強制動員被害者が死ぬのを待っているのか」と砂川事件

韓国ハンギョレ新聞に記事「韓国最高裁は日帝強制動員被害者が死ぬのを待っているのか」というタイトルの記事が2023/4/20付けで出ていて興味深い。
韓国最高裁で「三菱重工は1000~1500万円の慰謝料を支給せよ」との判決を得た徴用工であったと言われる人が慰謝料支給を拒否され、三菱重工業の商標権・特許権の現金化要求を行い三菱重工が特別抗告したことへの早い判決を要求したというもの。

結論から言えば「韓国最高裁は日帝強制動員被害者が死ぬのを待っているのだろうな。」と思う。この問題は日韓の外交問題・韓国国内法・国際法がもつれにもつれていて、誰をも納得させられるような解はもう無くなってしまっているからだ。被害者と言われる人が死亡し、その遺族が尹錫悦韓国大統領が今年に発表した徴用工支援団体からの補償金を受け取る以外の解はもう無いだろう。(この方法でも韓国国内法上の整合性には問題はあるのだろうが。)

・もし韓国最高裁が三菱重工の特別抗告を認めたなら、過去の「三菱重工は1000~1500万円の慰謝料を支給せよ」との確定した韓国最高裁判決との韓国国内法上の整合性をとるロジックが必要だが、どう考えても正当なロジックは無いと類推される。
・もし韓国最高裁が三菱重工の特別抗告を棄却し、その商標権・特許権が売却されたなら一国の大統領が他国を訪問して約束してきたことが破られるわけで、普通に考えれば最低でも韓国大統領が辞職するような形にはなるだろう。また、1965年の日韓請求権協定との国際法上の整合性が問われ、かつ日本による報復が予測されるので日韓関係はまた”最悪”の状態になるのだろう。

国際法上はある国が条約違反を行った場合(1965年の日韓請求権協定は条約の一種と考えられる。)、同程度の報復措置は認められている。ということは日本政府の報復として日本に進出している韓国企業の商標権・特許権を差し押さえて売却するなどが考えられるが、例えば日本におけるサムソンの商標権・特許権を差し押さえて売却するようなことがあり得るのだろうか?(実際には軽々しくそんなことはしないだろうが。)

なぜ砂川事件が出てくるかというと、「統治行為論」で上記の話と関係しているからだ。少なくとも情緒的には私は砂川事件の判決には反発を感じてはいたが、今回の日韓の徴用工問題と韓国司法の三菱重工への判決とその後の一連の出来事を見ていると「統治行為論」は正しかったのかなと思う。砂川事件の判決にて日本の司法は「統治行為論」にて自制し、日米の外交関係の根幹であるサンプランシスコ条約体制を否定し得なかった。それは正しかったことのように思う。

韓国司法も今回の徴用工問題に関しては「統治行為論」を正しいとし、外交関係に踏み込むべきではなかったと言える。もともと司法が外交関係をハンドリングすることは無理なのだ。踏み込んでしまったがゆえに自縄自縛で動きが取れなくなって、関係者が死亡するのを待つような状態になってしまったように見える。(2023/4/22)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「日記」カテゴリーもっと見る