東京藝大が運営費交付金減少で財政難となっているとの報道があった。これを嘆く向きもあるようだが、私はこれは国家が助けるべきことでなく、自助すべきことと考える。他の国立大学と同様の運営交付金でやっていくべきだ。
そもそも東京藝大の設立理由は(実際にはその前身である国立音楽学校等のことだが)鹿鳴館外交であった。つまり条約改正のために日本も芸術を解する”文明国”であることを示す必要から設立・運営されたものと言える。それが不平等条約の改正後もその設立目的が達成されたにかかわらずそのまま運営されてきていた。
文楽や能は日本の伝統芸能であり、日本人がやらねば他に担う人はいない。だから日本政府が補助するのは理解できる。しかしクラッシック音楽や洋画は西欧の伝統芸能であり、日本人がやらなくても西欧人が維持していくであろう。日本政府が税金を使用してそれを日本で補助・維持しなくても少なくとも西欧ではそれらは継続されていく芸能である。
日本のクラッシック音楽や洋画を行う人々は日本でやっていくのであればその芸術内容が自分たちでビジネスとしてやっていけるような良いものを作るようにするしか方法はない。国家の税金補助でやっていくというのはおかしい。
今回の財政難への対応にさだまさしらが出演したコンサートの収益を充てたということだが、なぜさだまさしでなぜクラッシックのコンサートではないのか?
坂本龍一は東京藝大出身だが結局その実績はクラッシック音楽ではなく、ポップス・映画音楽が多大である。厳しい言い方ではあるが、日本のクラッシック音楽は結局ビジネスとして成り立つほど音楽性が高くないからではないか? ビジネスとして成り立たないということはつまり趣味の領域を出ていないということである。(2023/4/20)