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日本の5G、整備が加速しないのは“儲からない”から!?_佐野正弘様記事抜粋<携帯各社がエリアの広さや通信品質で優位性を打ち出し、激しい競争を繰り広げていた4Gの時代と比べると、5G時代の現在は携帯各社のネットワーク投資をむしろ抑制することに力を入れており、整備にも消極的です。その理由をひとことで表すならば、ズバリ“儲からない”から。では、5Gで携帯電話会社が儲かるには、何が必要とされているのでしょうか
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鳴り物入りで導入が始まった5Gだが、各社とも5Gネットワークの整備が加速していない状況にある
5Gの整備に及び腰となった国内携帯各社
携帯電話の通信規格はおよそ10年ごとに入れ替わる傾向にあり、現在主流の「4G」の1つ前となる「3G」はサービス終了が進んでいます。実際、KDDIは2022年に3Gを終了させており、ソフトバンクも能登半島地震で大きな被害を受けた石川県を除き、2024年4月15日にサービスを終了。その石川県でも、2024年7月31日をもってサービスを終了しています。
その一方で、現在携帯各社は新しい通信規格「5G」の整備を進めており、将来的には4Gから5Gへと主流が移っていくものと考えられます。ですが、ここ数年来、携帯電話会社の5Gネットワーク整備状況を見ていると、4Gまでとは力の入れ具合が大きく変化しているように感じます。
実際、LTEを含む4Gの時代は、携帯各社が基地局の整備に積極投資をし、新技術も積極的に取り入れるなどしてネットワークを進化。エリアや通信品質で自社がいかに優れているかを打ち出し合うなど、競争が非常に過熱していました。ですが、5Gでは各社がこぞって5Gのエリアを拡大する様子は見られず、5Gの主要技術である「Massive MIMO」などの導入にも消極的。とりわけ「サブ6」と呼ばれる高速大容量通信が可能な高い周波数帯の整備は、今なお世界的に遅れが指摘されている状況にあります。
その傾向は数字にも表れています。国内の通信機器関連事業者の団体である情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の資料によりますと、5G基地局の出荷数は2021年をピークとして既に減少傾向にあり、その需要も3Gや4Gの規模に達していないとされています。携帯各社の5Gに向けた投資が、いかに伸びていないかが理解できるのではないでしょうか。
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総務省「競争ルールの検証に関するWG」第50回のCIAJ提出資料より。国内の5G基地局の需要は3GやLTE/4Gの時代より弱く、基地局への投資も2021年で既にピークアウトしているという
しかも、投資抑制の傾向は今後さらに加速するものと見られており、そのことを示しているのがインフラシェアリングの拡大です。インフラシェアリングとは、携帯電話会社同士、あるいは基地局を設置する通信鉄塔などの設備を持つ会社と基地局を設置する場所を共有することで、投資コストを抑えながらエリアを広げる手段として海外では古くから用いられていますが、4Gまで非常に激しい競争を繰り広げていた日本ではあまり活用されていませんでした。
ですが、5G時代に入ると、国内でもインフラシェアリングに向けた動きが急加速。すでに、KDDIとソフトバンクが2020年に合弁で「5G Japan」を設立してインフラシェアリングの強化を図っていますし、NTTドコモは2022年に、最大6,002基の通信鉄塔をインフラシェアリング専業のJTOWERに譲渡すると発表。最近でも2024年7月22日に、KDDIがJTOWERと通信鉄塔などの設備を整理統合する検討を進めることを発表しています。
KDDIとソフトバンクは「5G Japan」を設立してインフラシェアリングを進めている。従来は地方を主体に展開していたが、今後はその取り組みを都市部にも広げ、一層のコスト削減を進める
5Gで稼ぐにはより一層の投資が必要
なぜ日本の携帯電話会社は、5Gになって突然ネットワーク整備に消極的になってしまったのでしょうか? その要因は大きく2つあり、1つは日本で5Gのサービスが始まった2020年に、菅義偉氏が首相に就任したこと。かねて携帯電話料金の引き下げに非常に熱心だった菅氏の影響によって、携帯各社は料金引き下げを迫られ、結果業績を大幅に悪化させたことで5Gへの投資に消極的になってしまったといえます。
ですがもう1つ、大きな要因となっているのが、5Gの活用をけん引するキラーデバイスやサービスが出てこないことです。当初、5Gのキラーになると見られていた法人ソリューションやメタバースなどはいずれも期待外れの結果に終わっており、5Gの利用用途は4Gとあまり変わっていない状況にあります
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5Gの商用サービス開始前後には、メタバースや法人サービスなどが5Gのキラーとして注目されていたが、いずれも成功しているとは言い難い状況にある
それゆえ、5Gに積極的に投資をしてもスマートフォンで得られる以上の収益を得るのが難しく、日本では携帯電話料金に対して依然、行政からの引き下げ圧力が働いている状況にあります。スマートフォンのトラフィックは増加傾向にあることから、通信品質を低下させない程度に5Gの整備を進めてはいるものの、あまり儲からないから積極投資をしたくない、というのが携帯電話会社の本音といえるのではないでしょうか。
それだけに、5Gのネットワークをより充実させるには、携帯電話会社が5Gを整備することで売上が伸びる明確なメリットが必要といえるでしょう。そのための施策をいくつか打ち出しているのが、基地局などの通信設備を提供している、ノキアやエリクソンといった通信機器ベンダーです。
ノキアは基地局をAIの推論に活用したり、APIを通じて携帯電話会社のネットワークを外部のアプリケーションから利用できるようにしたりするなど、携帯電話会社のインフラを外部の企業に提供して収益化につなげることを提案。一方エリクソンは、通信速度や品質を向上させるのにお金を多く支払ってもいいと考える消費者が世界的に多いとし、高速・高品質の通信サービスを付加価値として提供し、収益を高めることを提案
そしてもう1つ、両社がともに収益化を進めるうえで非常に重要だとしているのが、スタンドアローン(SA)運用への移行です。現在のノンスタンドアローン(NSA)運用では、4Gと5Gを一体で整備する必要があるため、5Gの性能をフルに発揮できません。しかし、5Gの設備のみで運用するSAに移行すれば、5Gの特徴の1つでもある「ネットワークスライシング」という技術が使えるようになります。
これは、5Gのネットワークを仮想的に分割し、用途に応じた専用のネットワークを提供できるもので、ある意味、特定の人や企業が占有できる、品質が保証された「専用線」をモバイルで実現するような技術といえるでしょう。それゆえ、ネットワークスライシングで品質を保証したネットワークを提供して新たな付加価値を生み出すことが、携帯電話会社の新たな収益源につながるというわけ
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エリクソンは、高い通信速度や品質を保証するサービスに価格的付加を付けて収益源にすることを提案しており、そのためにもSA運用への移行とネットワークスライシングの活用が必要だとしている
ですがSAへの移行、そしてネットワークスライシングを導入するうえでは、分割してもなお高速大容量通信を実現できる十分な帯域幅のネットワークが必要で、そのためには5Gらしい高速大容量通信を実現するネットワークの整備が不可欠です。そして、そのためには大規模な投資が必要なのですが、携帯電話会社が思い切った投資に踏み切れないので整備が進まず、SAへの移行が遅れ収益向上に結びつけられない……という悪循環に陥っていることこそが、最大の課題
FRB議長、9月利下げ「時が来た」 米金融政策が転換点_日経様記事抜粋<米国の金融政策が転換点を迎えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日の講演で「政策を調整すべき時が来た」と次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げをほぼ明言した。世界最大の経済大国の4年半ぶりの利下げは、世界の市場やマネーの動きにも大きな影響を与える。
NYダウ462ドル高、迫る最高値 利下げ示唆で割高感薄れ_日経様記事抜粋<24/8/23の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比462ドル(1.1%)高の4万1175ドルで引けた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が23日の講演で9月利下げ開始をほぼ明言し、リスク資産の株に資金が向かった。ダウ平均は7月の最高値に迫るが、金利対比でみた割高感はやや薄らいでおり株買いを支える。上げ幅は一時500ドルに迫り、取引時間中の値ながら7月17日の史上最高値(4万1198ドル、終値ベース)を上回る場面もあった。多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数は前日比1.1%高、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同1.5%高となった
開催中の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演したパウエル氏は「政策を調整すべき時が来た」と述べ、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げを強く示唆した。利下げペースについては今後の経済指標次第という姿勢を示した。
米運用大手ティー・ロウ・プライスのブレリナ・ウルチ氏は9月の0.25%利下げが軸としつつ、8月の雇用統計で「失業率がさらに上昇したり、雇用者数の伸びが10万人を下回ったりすれば、0.5%幅の利下げに踏み切る可能性がある」とみていた。
今後の指標次第で利下げペースが速まるとの見方から、米国債利回りは各年限で低下(債券価格は上昇)した。長期金利の指標である10年債利回りは前日より0.06%低い3.79%まで低下する場面があった
株価指数の水準自体は再度の最高値更新が視野に入るが、金利と比べた割高感は当時ほど強くない。S&P500の予想益回り(PER=株価収益率=の逆数)と米長期金利の差で、米株の相対的な割高さを示す「イールドスプレッド」は7月時点でIT(情報技術)バブル崩壊直後の2002年並みの水準を示していた。その後の金利水準の低下を受けて、割高感がやや薄れた。
ニューヨーク外国為替市場では、主要通貨に対して米ドル安が進んだ。対円では一時1ドル=144円台前半と、約2週間ぶりの円高・ドル安水準を付けた。対ユーロでは1ユーロ=1.120ドル近辺と2023年7月以来の水準までドル安・ユーロ高が進んだ