消費者が企業などに問い合わせをする時、その商品やパンフレット等に表示されている電話番号にかけることがある。以前はそれが0120なら助かったとよく思ったものだった。なんといっても電話代は企業側持ち。つまり電話をかけた側は、通話料が無料なのだから大いに助かる。逆に03で始まる番号だと、かけた側がその通話料を支払らわなければならないので、「そうなのか~」などと思ったものである。
ところがありがたいことに、携帯電話が普及した昨今はなんと「かけ放題」というプランが登場し、0120であろうと03で始まる市外通話であろうと、一部をのぞいて全部無料。これはほんとうにありがたい。いくら何回かけてもタダなのである。電話代もかなり手頃になったと思っていた。
ところがどっこい。しばらく前から0570という意味のよくわからない番号が商品のお問い合わせ欄にけっこう進出するようになった。旅行会社の申し込みや、店舗の代表電話にさえ0570で表示されている場合がある。つまりそれらの番号の他には、普通の市外電話番号も、0120の番号もないのである。地方の旅行会社なら、その店にかけてくる人は近辺の人が大半なのだから、全国一律料金などという逃げ口は通用しない。
いったいこの0570で始まる番号とは何者なのか調べてみる。
03などで始まる番号は
「お客様、電話代は負担してください。
でも、かけ放題なら無料ですよ」。
0120で始まる番号は
「お客様、電話代は無料です
電話代は当社で負担します」。
0570で始まる番号は
「お客様、電話代は負担してください
かけ放題もダメですから、負担してください」。
0570のその料金システムを初めて知った時、私は一瞬自分の耳を疑った。たとえかけ放題でも、企業側はお客様の無料でかけられる電話を無視して、無理やり料金を払わせる。このことを考えただけで、0570は企業側にとって、03などで始まる番号よりもはるかにメリットがあることが一目瞭然だ。そうでなければ、かけ放題のお客様が無料でかけられるものをわざわざ拒否して、電話代を払わせる必要性がない。03などの番号で十分なはずであるから。
きっと、顧客側にはわからない、何かの利点が企業側にあるはずである。それでなければ、0570を設置する企業などあるはずがない。
0570を採用する企業側のメリットがどういうものかは私にはわからない。でも、普通の03などの番号を表示していれば、多くのお客様の電話代が無料になり、企業側としてもなんら損失はないはず。それを採用せず、わざわざ0570のみにして、全お客様に電話代を無理やり負担させる企業側の意図がわからない。
驚いたことに公共性の高いNHKでさえ、受信料を頂戴しているにもかかわらず、0570を採用している。別途料金が必要なBS放送にまでにもその番号を表示しているのはいかがなものか。
反面、0120を表示している企業は、ほんとうにお客様を大事にしている。小さなことかもしれないが、国民の中にはこのような点から企業の優しさを感じる者がいることも忘れないでほしい。
「つれづれ(162)0570の不思議」