「旅を楽しむ会」という名の、旅のサークルを主宰している。会員は現在160名強の、旅の好きな人の集まりである。そして月に6回くらいは日帰りか宿泊のイベントを開催している。
先日行われたそのイベントのときに、参加者から面白い話を聞いた。希望のものはほとんどが満員で、予約が大変だということ。たしかにこの「旅を楽しむ会」ではかなりの満員が発生しているのが実情である。
思い返してみれば会を立ち上げた年の3月には会員がわずか10名だったのが、一年後は90名を超えていた。言われてみればもっともな話かもしれない。
そんな時はあきらめずにキャンセル待ちをかけてほしいと私が言った。すると彼女はキャンセル待ちは意味がないからと、はっきり言い返す。私はおかしなことを言う人だなと瞬時に思った。
よくよく話を聞いてみると、あるコミュではキャンセル待ちをしていてもそれに関係なく、キャンセルが出たときは早い者勝ちだと言う。私はとっさに、それは変だねと言い返す。
キャンセル待ちとは、「今現在は満員だが、この先空きが出たら連絡してください。そのときは行きますからね」。
主催者は「はいわかりました。そのときは必ず連絡します」というお互いの信頼関係で成り立つ約束事である。私は少なくともそう思っているし、キャンセル待ちとはもともとそういう意味合いのもの。そういうお互いの約束事を主催者が一方的に破って、早い者勝ちというのはマナーを心得ている主催者なら普通は考えられない。
その主催者は、キャンセル待ちという意味を理解していないのだろうかと疑ってしまう。もしそうだとしたら、いかがなものであろうか。
仮にキャンセル待ちという意味を理解していながらそういうことを平気でやっているのだとしたら、これはますます考えなければなるまい。
ただ「私どもの会はキャンセル待ちは無視し、キャンセルを早く気付いた人から順に予約を受けます」と会のルールに表記してあれば、それはそれでその会自身のやり方であるから別にかまわないかと私は思う。
その会員は、会のそういうやり方に今後も合わせていくか、それともその会を去るかのいずれかしかないであろう。
少なくとも私どもの「旅を楽しむ会」は、乗り物や劇場などの指定席のシステムと同様に、キャンセル待ちの意を正しく汲み取り、今後も会を運営していくつもりである。
本来の意味を勝手に自分なりに曲げて、会員へ通達もせずに会運営を行うなどということはしたくない。
「つれづれ(161)キャンセル待ちとは」