「夜間中学校と教育を語る会」公式ブログ

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どれほど勉強したかったか 花咲け出愛スピーチ大会1

2012年09月10日 10時19分02秒 | スピーチ大会
去る8月19日に行われた 夏のひろば 「花咲け出愛」スピーチ大会について、これから何回かにわけて お伝えします。
第一回は 事務局長の木下さんの感想です。

「花咲け出愛 スピーチ大会」について

かつて夜間中学を舞台にした映画「学校」を作った山田洋次監督は、夜間中学のことを「勉強したいという人だけが来る学校」と形容したことがあった。夜間中学の本質をとらえたすばらしい言葉だと思った。

日本中の学校で、生徒は勉強をさせられている。勉強をしたくて学校へ行っている生徒はほとんどいない。だが夜間中学だけは、勉強したいという人しか来ない。そのおかげで、我々教員も、その声に応えようと努力するだけで「良い先生」に育っていく。夜間中学はそういう不思議な力を持っているところだ。

今回スピーチをしてくれた多くの人たちは、それぞれが、どれほど勉強したかったかという思いを語ってくれた。そしてその思いに応えてくれた夜間中学を忘れられない場所として今でもこうして語ってくれるほど生き生きと覚えている。それぞれの人生に深い刻印を押し、その後の人生の支えになっているのが夜間中学だ。それを熱く語ってくれた。

私が特に印象に残ったのは、映画「こんばんは」でも一緒に出演した伸ちゃんだ。伸ちゃんは心を閉ざしていたので社会に踏み出すことが出来なかった。それが夜間中学の3年間で、人々の中で生きていく自信を取り戻し、自分のやりたいことを見つけていった。

今では、大学も卒業し仕事に就いている。すっかり普通の若者になった伸ちゃんの成長に夜間中学が果たした意義は大きいものがある。伸ちゃんと同じような境遇にある若者達に伸ちゃんの姿を見てもらって、夜間中学で勉強することの意味を伝えたいと思う。

学ぶと言うことの本当の意味、学校という存在の本当の意義を考える上で今回のスピーチ大会は多くのことを教えてくれた。今後も多くの人と学び会うことで、夜間中学の存在と意義を広く伝えたいと思った。

「夜間中学校と教育を語る会」事務局長:木下秀明

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