2005年8月12日、雨。盆休みを利用して念願の槍ヶ岳に登る。行程は上高地から横尾、槍ヶ岳、西鎌尾根、双六岳、笠ヶ岳、笠新道を下り新穂高温泉までの3泊4日の行程だ。何故槍ヶ岳に登る決断に年月を要したのか、それは槍ヶ岳の垂直梯子が怖かったからだ。
8月11日、新宿からさわやか信州号で上高地に6時に着く。雨が時折激しく降る。6時40分意を決して雨の中を出発。土砂降りが続くようなら横尾あたりから引返そう。徳沢あたりまで歩くと、雲の切れ間から薄日が差すようになる。
9時16分時横尾に着く、屏風ノ頭(あたま)に雨雲がかかる。雨も止んだのでカッパの上を脱ぐ。
9時33分槍ヶ岳に向け出発。道のりは横尾にあった案内図が分かりやすい。
一ノ俣、ニノ俣の橋を渡り、 一ノ俣橋
ニノ俣橋
11時8分に槍沢ロッジに着き昼食をとる。小雨が降り始める。赤沢岩小屋に着く前に雨は本降りとなったからカッパを着る。
槍沢左岸を登って行くと、
ババ平あたりから対岸に起立する横尾尾根から幾筋もの流れを見る。雪渓もわずか残っている。
大曲あたりまで登るとガスって視界もわずかとなる。時たま雪渓の端を歩くようになる。
勾配も徐々に増し、13時37分天狗原分岐に着く頃には、少しバテ気味となる。大曲からの1時間は長く感じられた。
天狗原分岐から東鎌尾根分岐まではジグザクに急登を稼ぐ。もう高山植物など見て楽しむ余裕などまったくない。ゆっくりではあるが休まず着実に前にすすむことを考えるのみ。
14時41分東鎌尾根分岐に着く。一息いれたいところであるが、雨・ガス・風で、休んでいると、体がすぐ冷えてしまう。手もかじかんでくる。
ここで昨年槍ヶ岳山荘に泊まった人と、山小屋情報の交換をして殺生ヒュッテはいつも空いているとのこと。槍ヶ岳山荘はやめて殺生ヒュッテに泊まることにした。
15時28分殺生ヒュッテに着く。カッパを脱いでスッキリする。
靴下を乾燥室に干し、冷えたからだをダウンであたためる。ここの飯は粗末であるが、空いていてゆったり寝られるのは間違いない。飯を取るか寝床を取るかである。今日はゆったり寝たい。それと殺生ヒュッテから槍ヶ岳山荘までは40分ほどであるが、もうばてバテバテだ。
夕食、朝食の記録は無い。
出発当初はどこかで戻ればよいとも考えていたが、ここまできてしまった。こうなれば登山道が分かる程度視界が利く限り、予定通り行こう。
今日の行程、
6:00上高地6:40-9:16横尾6:33-10:22一ノ俣-10:36ニノ俣-11:08槍沢ロッジ11:32-12:13赤沢岩小屋-12:37大曲(水俣乗越分岐)-13:37天狗原分岐-14:41東鎌尾根分岐(ヒュッテ大槍)-15:28殺生ヒュッテ(2食8400円)
13日、午前:雨時々曇、午後晴時々曇。昨夜は時折トタン屋根を雨が激しくたたいていた。
朝食5時、6時小雨ガスの中を殺生ヒュッテ出発。
6時40分、ジグザクの急坂を登り槍ヶ岳山荘前に出る。
山荘前は出発する人がたむろする。山荘内は空いている。
山荘にザックを置き、空身で槍ヶ岳へ出発。ガスが酷く道標もどこやら。岩場、鎖場、垂直梯子と緊張の連続であるが足元手元だけに集中することで、高所恐怖をやわらげる。7時3分槍ヶ岳頂上に立つが視界はまったくなし。下りも慎重に下り30分で槍ヶ岳山荘へ。
7時36分、槍ヶ岳山荘に戻り、双六・笠ヶ岳・西鎌尾根への道標を確認して歩き出す。
30分ほど急なザレ場を下ると、雲の下になり西鎌尾根や硫黄尾根が見られるようになる。
(西鎌尾根)
(硫黄尾根)
8時28分、千丈沢乗越に着く。こんな所を下ってきたのか。
硫黄尾根(正面)と北鎌尾根に挟まれる千丈沢が下に見える。
ここから西鎌尾根の稜線を歩いて樅沢岳まで2時間半の道のりだ。慎重に歩いて行こう。
途中イワギキョウや雷鳥親子に出合う。
振り返れば北鎌尾根が少し姿を現す。左俣岳あたりで昼食のパンを食べる。
12時8分樅沢岳に着く。イヤー長かったね。
千丈沢乗越から樅沢岳までは何の目印もないので、先がわからず疲れる。硫黄尾根を過ぎたあたりの鞍部(おそらく硫黄乗越)で右から硫化水素臭が風に乗ってくる。それにしても、コースタイムを1時間もオーバーしてしまった。カッパを脱いだり着たりがあったからしょうがない。
樅沢岳の下りからは双六小屋と双六岳が見えるほど雲が切れる。
双六小屋の手前まで下ると左手に双六池が。
13時丁度、今日の宿双六小屋に着く。
小屋はの前は槍ヶ岳、新穂高温泉・笠ヶ岳、三俣蓮華岳・鷲羽岳への分岐点で要所だ。
鷲羽岳にかかっていた雲も切れ始める。
小屋の受付を済ませ、ザックを置いて空身で双六岳に向かう。時々晴れ間がのぞくようになる。
三俣蓮華の道を右に見送り、中腹まで登ると右手に丸山、その先雲に隠れるが三俣蓮華岳。
後には今下ってきた樅沢岳。
登りきると、そこには今まで見たこともないような双六岳の台地が山頂へ続く。
台地からは明日の行程の弓折岳稜線が見える。
14時25分双六岳の頂に着く。
頂から振返る双六岳の台地。
雲がかかったりして景色を満喫することは出来なかったが、雨やガスがなかっただけでも良かった。戻りは中道ルートを戻ろう。ミヤマリンドウや雪田に出合う。
中道ルートを戻る途中で、束の間槍ヶ岳方向の雲が切れる。
樅沢岳から、奥に北鎌尾根。
槍ヶ岳も時折姿を現す。
燕岳も見える。その右に
大天井岳?も見える。(常念岳ではないよね)
鷲羽岳と燕岳(右)の間の奥に見えるのは唐沢岳(左)と餓鬼岳か。
後方には左から丸山、三俣蓮華岳、祖父岳、鷲羽岳。
双六小屋近くまで戻ると明日の登山道の先に弓折岳が。昨日と違い周りの景色が見られてよかった。夕食は天婦羅、ささ身のフライ、ソーメン。黒部五郎小舎と双六小屋の食事はよいと同室の登山者が教えてくれた。
19時雨になる。天気予報では明日も曇雨。
今日の行程、
殺生ヒュッテ6:00-6:40槍ヶ岳山荘-7:03槍ヶ岳-7:36槍ヶ岳山荘-8:28千丈沢乗越-12:08樅沢岳12:33-13:00双六小屋-13:33三俣蓮華分岐-14:25双六岳14:42-16:43双六小屋(2食8500円)