つづき。
イタチキ川出合の案内板を11時13分見る。
右前方に進むと川岸というか川の中と云おうかの様なところに出た。
川岸を1,2分進むとイタチキ川(左手)と浦内川(前方)の出合だ、11時20分。浦内川は石で堰き止められたようになっている。流れは石の下に消えたのだろう。
ここを左手に入りイタチキ川を上ればマヤグスクの滝だ。前方の岩の右手を登れば横断道なのだろう(ガイド本とイメージが違ったので一度案内板まで戻って道を確認し出直す)。
12時26分、500m上流のマヤグスクの滝へと、横断道を一旦離れイタチキ川の流れの中を上流に向かう。川は上流に向かって右側(左岸)を歩くので、先ずは流れを渡ろう。浅いが、川底がスベリやすいから慎重に進む。コーナーは流れが速いので長靴に水が入りそうだ。
右手は崖、左手は石と茂みだから川の中を進むしかない。この道でよいのかと少し不安を抱きながら登ると、後ろから先の方に赤テープが見えるの声。
赤テープに向かって進むにしたがい一旦川幅が狭くなり、
赤テープから川を上がり登山道へ入る、11時33分。ここから先はテープの目印がある。
川を上がったと云っても石がゴロゴロする川の中かな?
数分も歩かないうちに、また川の中の歩きだ。この川の中の歩きでヒルが長靴やズボンに付く。尺取虫を細くしたような大きさだ。実害は誰も受けず。
11時41分川幅が狭くなる辺りから、目印に従い川から左岸に上がり登山道へ。
少し登り気味に5分も歩くと崩落斜面のトラバースに出て、慎重に通過。
通過して、左手の川に降りるように下ると、11時52分階段状の壁に流れ落ちるマヤグスクの滝に着く。先ずは1つ目の目標はクリヤー。
皆さんヒルの被害はないかと滝壺で点検。
予定より遅れているから、滝は登らなかったが、恐らくこの右端を登れば滝の上に出るのだろう。
滑りやすい川の中を慎重に下り、
12時34分イタチキ川出合に戻り、10分間の昼食。
45分遅れの12時45分出発だ。ガイド本ではここから先が横断道の核心部だ。
目の前左側上に赤い目印が見えるが、左の壁が崩れそうなので、ガイド本の通り目の前の大岩の先に川の中から回り込むように進む。
コーナーの石を登ると斜面に下がるロープが目に入る。
2段構えで張られているロープを頼りに高さ数mほどの急斜面を登る。
登り上がった先の登山道は、斜面にならい右手浦内川に傾いているから、滑らないように慎重に歩く。
ロープを登ってすぐの12時50分、標識8に着く。標識は24まであるから、まだ1/3しか進んでいない。ルートの先の予想がつかいから少し不安。なんとか明るいうちに大富口には着きたい。大富口から先は林道だから日が暮れても歩ける。
このあたり川面までかなりの高さを切れ落ちてるのだ。
滑りやすそうなところには、頼りないがロープが張られている。道は依然として川側に傾いている。
出合から15分ようやく横断道が少し安心して歩ける道となる。目印のテープも5,10m間隔であるから道を失うことはない。この調子で目印があることを願うばかりだ。
13時5分道標9に着く。400mを15分で歩いた。この調子で進みたいものだ。
小さなアップダウンと、川幅が細くなった浦内川の川面を時に見ながら快調に進む。
13時21分、標識10に着く。
同様の景色の横断道を歩いて標識11に13時46分着く。時々風が吹き抜けて暑い体に気持ち良い。風はないと聞いていたからありがたい。
出合を発ってから初めて見る沢だ。
数分歩いて河岸歩き以外のところで、わずかだが横断道初めての陽の当たる斜面に出た。
14時6分、標識12に着く。
この辺りから疲れも溜まってきたから、少し歩くペースを落とす。横断道はこの辺りは歩きやすい。
琉球政府時代の禁猟区を示す石柱が残っている。
14時14分、標識13に着く。カンピレー口と大富口の中間点だ。大富口まで4.8kmだ、半分歩いた安堵。
時にこんなところが出てくる横断道だが、
14時31分、標識14に着く。
この辺りの横断道は川面が横に見える。
前の方で人の声がする、中間広場でガイドづれの登山者が休んでいる。初めて人に会った。我々より遅い出発だったがマヤグスクの滝をパスして来たから先行したようだ。
我々も広場で一休み、14時36分。登山者のズボンのすそが手のひら大に赤く染まっている。ヒルではとの指摘に、ズボンをめくれば小指大に丸々太ったヒルがフクラハギを赤く染めていた。登山者は渓流靴であった。
登山者に出合ったことに気を取られて道標を見落とし真直ぐ進もうとすると、ガイドさんが親切に方向違いますよと教えてくれた。ありがとうございました。方向が変わる場所にはこんな道標もあるのだが、見落とした。
14時45分、標識15に着く。
しばらく歩くとロープにすがって滑りやすい斜面を下る。
1分も歩かないうちに丸太橋だ。これはどう見ても渡るの無理だよね。
と考えていると、2mほど手前に左手に沢に降りる踏み跡が。これを降りて沢を数m遡り、ロープの張られた壁を登返して対岸へ。
丸太橋から数分も歩くと、浦内川に流れ込む支流を渡渉、15時6分。ここと、イタジキ川と、次の渡渉点が大雨が降るすぐに増水で危険個所だ。
渡渉すると、標識16だ。
標識のすぐ近くにこんな大きなシダの芽を見る。ジュラシックパークのようだ。これが当たり前の大きさなのだ。亜熱帯らしいものを見たぞ。
15時13分第一山小屋に着く。予定の通過時刻は15時だからすごい挽回だ。ここまでが核心部だから陽のある間に大富口に着けそうだ。安堵。
安心したせいか、樹林の雰囲気も亜熱帯感が増したように見える。
15時25分、標識17に着く。
標識から数分もしないうちに、古見分岐の渡渉点に、15時29分に着く。古見への分岐には気が付かなかったが。
ここからは川の渡渉を繰返しながら大富口へ向かうのだ。川と云っても浦内川の流は狭く浅い流れだ。
15時38分、標識18に着く。
立ち入り禁止の黄色いテープのところを通過。転落防止かな?道迷い防止かな?自然保護かな初めて見る。
出てきました沢の中の歩きだ。
15時58分、標識19に着く。
右に見ていた流れを左手に見る。
16時10分、標識20を見る。残すは4標識だ。
16時26分、標識21、大富口まで1.5kmだ。
標識から3分で渡渉。
沢の様なところを歩いて、
16時46分、標識22に着く。大富口まで1.1km。
また沢の様なところに出る。右や左と何回繰り返してきたことやら。
またまた、小さい沢に降りて登り返す。
もう川に流れはない。どちらに流れるのやら。
17時3分、標識23に着く。あと600mだ!
ここは水たまりだ。
数分も歩くと、笹が混じる薮の中の歩きに変わる。
登って下るとまたまた沢だ。
上の方が明るくなってきた大富口はもう直ぐのようだ。
ヤシの林を抜けて、
少し下ると、17時19分大富口に陽のあるうちに着く。なんと予定どおりの17時20分に着いた。無事横断達成、やったー!軍艦岩から約13.2km歩いた。
途中出合った登山者はガイドさんの車がここまで迎えに来ていた。一般車はここから7.5㎞先の遊歩道入口までだ。我々はその先の車待機場所まで8.5km、あと2時間の林道歩きだ。でももう迷うことはないから安心だ。
ここで大休止を取り、長靴を運動靴に履き替える人も。17時37分、林道を下る。
道すがらこんな花を見る、なんの花かね?
18時18分、ジャングルと仲間川を見下ろす展望所に着く。
さらに林道をひたすら歩く。
19時頃になると陽も沈み、薄暗くなる。
19時12分、ここから先レンタカー乗入れ禁止の車待機場所に着く。軍艦岩から約21.6km歩いた。
先ずは先着4名が19時22分民宿に向かう。たった10分の間にもう暗闇だ。19時28分に民宿に着き、すぐに折返し残り3名を迎えに行く。前日の下見の時はとは打って変わって、真っ暗闇の道は本当にこの道でいいのかなと不安になる。3つ光るヘッドランプを見て安堵。19時50分全員民宿に着く。駐在所と森林事務所に無事下山の電話を入れてすべて完了。
明日は朝から石垣島に戻って、沖縄県最高峰の於茂登岳(おもとだけ)に登ろう。
イタチキ川出合から大富口までの行程(カッコ内入口からのkm)、
11:20イタチキ川出合11:27-11:52マヤグスクの滝12:10-12:34イタチキ川出合(昼食)12:45-12:58道標8(2.8)-13:05道標9(3.2)-13:21道標10(3.6)-13.46道標11(4.0)-14:06道標12(4.4)-14:14道標13(4.8)-14:31道標14(5.2)-14:36中間広場-14:45道標15(5.6)-15:09道標16(6.1)-15:13第一山小屋跡-15:25道標17(6.5)-15:38道標18(6.8)-15:58道標19(7.2)-16:10道標20(7.6)-16:26道標21(8.1)-16:46道標22(8.5)-17:03道標23(9.0)-17:19道標24・大富口(9.6)-18:18展望所-19:12車待機場所
余談:横断トレキングをするにあたっては、登山道の情報収集で観光協会や民宿に聞くとガイドを付けろとアドバイスされる。ある宿はガイドを付けないなら泊めないと親切心から断られた。
そこで、日頃歩いているガイドさんに直接電話して登山道の状況を聞いたら、普段から山に登っている人がコンパス、地図、GPS等を持って入るならガイドは付けなくても問題ない。横断道には目印が付いているから道を失うことはないと教えてくれた。深謝。
それでも、突然の増水や、道迷いや、故障者に備えて当日中に抜けられないことも考えて、ツエルト、ロープ、吸引器を持参、各自にはカラビナ、150cmテープスリング、食料3食。待機者には翌朝10時までに連絡ないときは遭難届を警察に出すことと決めて入山。車での送迎を行ってくれた待機者にも深謝。
実際歩いてみれば、河岸を除いて横断道には5,10mの間隔で赤いテープが付けられている。赤いテープを見なくなったら間違いとすぐに気が付く。
今回は問題なかったが、台風の後や、大水の後は沢の様相が変わり、目印もなくなるかもしれないので、入山する前に地元ガイドに近況を聞くべきと思う。
道標は400m間隔であるから歩いた目安にはなるが、道迷いの助けには心もとない。樹林の中の横断道は浦内川と細かな山襞に沿った道なので見通しはきかない。
この記録は横断トレッキングをこれからする人の参考になればと書いた。時間は健脚でもなくごく一般的なジジババの山登りを趣味とする人と見ればよい。