食料を探しに歩く。
すれ違う人の目が自分の”モノ”を見ているようで、恥ずかしい。
服の上からでも大きさが分かるほど大きいのだから仕方がない。
食料がある場所なんて分からない。人には聞きたいが、今はお店に行ける状態ではない。
ゴミ箱を漁ってみた。食べられる物は食べカスくらいしかなく、あとは腐った物しか無かった。
これでは腹は満たされない。
歩いていると、自分と同じ境遇らしい男が近付いて来た。
「お前、困ってんだろ?」
「えっ?」
「見れば分かるよ。メシはこっちだ。」
ついて行くことにした。もちろん不安はある。しかし、食料があるらしい。
「着いたぞ。」
そこには食うに困っている者達が食事を摂っていた。
「ここは教会だ。1日2回メシが出る。量は少ないが餓死は防げる。」
早速食事を摂った。
パンとスープだけだったが、満足な食事にありつけた。
「会った時から思ってたんだが、あんた何隠してんだ?」
「いえ、何も…。」
「どう見たって隠してるだろ?服の上からだって分かるんだよ!」
私は黙った。どう説明していいのか、正直に話しても信じてはくれないだろう。
「なぜ黙る?卑しい事でもあるのか?」
「そういう訳では…ただ、どう説明したらいいか…。」
「説明はいい。隠している物さえ分かればいいんだ。」
「…ここではちょっと、ついてきてもらえますか?」
人通りの少ない場所へ彼を連れて行った。そして見せた。
「!…うそだろ…? そんな…。俺はこんな奴知らねえよ!」
そう言って彼は逃げて行った。
食事を摂ることは出来るようになったが、まだ問題は残っている。お金はないし、寝床もまだ見つかっていない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます