食事を終え立ち上がった。
周りに人が集まっている。妙だ。
「実はね、昼間の事みんなに話したんだよ。そしたらね、みんな見たいってさ。」
集まった人々が少しずつ距離を詰めてくる。まずい!このままでは囲まれる!
気付けば人気の無い路地裏だった。無我夢中で走ったからだろう、息が上がっている。別に恥ずかしかった訳じゃない、ただ怖かった。
もうあの教会には行けない。
今日の夜空は星が悲しく見える。また私は独りぼっちになってしまった。
男の憧れでもコンプレックスになってしまいそうだ。でも、小さくするのも思いやられる。
腹が減っていたがもう、今日は寝よう。
貴方の望みは何ですか?叶えてみせましょう。…
…それなら、俺は…
…夢か。少し期待してしまった。また絶望に戻った私だ、こんな夢も見るだろう。
…また、ゴミ箱を漁らなければ…
はっきり言って疲れている。長距離走った上に空腹で野宿だ。誰でもいい、泊めて欲しい。
ゴミ箱を漁っていると人に見られ、笑われたり嫌がられたりした。まるで獣を見るような目で見る者もいた。同じ人間なのに大きな壁があるように思えた。
結局、腹は満たされなかった。あの教会に戻ろうとも思ったが、安心は出来ないだろう。それに寝床だって探さなきゃいけない。
うろうろしていると、通りに出た。街灯が眩しい。人はいない。地に腰を下ろし少し休憩する事にした。
肩を叩かれた。目を開けると顔が…!
「大丈夫?」
「…はい…」
どうやら眠ってしまっていたらしい。
「あなた、家ないんでしょ?私の家に来る?」
目の前のマダムはそう言った。見知らぬ人ではあるが断る理由はない。
「フフフッ」
「フフッ、こんな事ってハハッ、あらごめんなさいね。で、どうするの?」
「…迷惑でなければ。」
「じゃあ、決定ねフフッ。」
なぜ笑っているのだろうか?
そういえば、今の自分の体勢は膝を抱えて座っている。…!
私は服の裾をつかみ素早く隠した。
「隠さなくてもいいのに。」
体中が熱くなっていくのが分かった。
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