例年に比べればお客様数は少ないものの、夏山シーズンのひとつの山場である山の日連休を過ぎました。新型コロナウイルス感染症対策とともにスタートした、"with コロナ"のシーズンも中盤です。その中で感じた雑感、というよりも、危機感に近いものについて、今日はお話してみようと思います。
今シーズンの槍平小屋は素泊まりを含め、小屋内での宿泊営業、軽食提供を中止し、完全予約制のテント泊営業のみとなっています。例年のハイシーズンであれば、キャンプ泊ピーク時には100名近いお客様のご利用があり、”密”となることが避けられません。そこで、今シーズンはお客様に必ず事前予約をお願いし、利用者数をコントロールさせて頂いています。また、屋外でのキャンプ泊営業のみとはいえ、体調不良の方が入山してしまえば他の登山者、山小屋スタッフへの感染リスクも心配されます。槍平小屋ではキャンプ予約を頂く際、入山日当日の健康状態報告をメール、またはお電話で小屋にお知らせ頂くようにお願いしています。また、お客様が”密”となる可能性がある小屋玄関内(特に雨天時の雨宿り時)では飲食時以外はマスクを着用し、飲食時も大きな声を出さないことや、小屋販売品を含むすべてのゴミ持ち帰りをお願いしています(掲示を10箇所程度に張り、さらには15分おきに日本語と英語による音声案内でもお知らせしています)。手指消毒用のアルコールも玄関内、トイレ入口に配置し、キャンプ場水場は蛇口を触る必要がないように、水は常に開放しています(蛇口を触らないように注意書きもあります)。
以上が今年、槍平小屋がとっている主な対策です。しかしこの連休の三日間、残念ながら玄関内でマスク未着用の方、大きな声でお話になる方、水場の蛇口を触る方も驚くほど多くいらっしゃいました。また、キャンプ泊のご予約を頂いた方で当日の健康状態連絡がもらえない方、「よその小屋はテント泊の予約不要だから、ここもいらないと思った・・・」、「テント泊に慣れてなくて、上まで行く予定だったけど体力的に無理で・・・」という方々も。そして、トップ画像。山の日が明けた今朝、玄関前で最初に目にしたのが放置された空き缶でした。
来シーズンの小屋宿泊営業の再開へ向けて、槍平小屋も" with コロナ"時代の山小屋の在り方を模索しています。今シーズンより少しでも前進し、安心できる山小屋利用をして頂くためには我々山小屋スタッフの努力はもちろんですが、登山者の皆様お一人お一人のご協力が不可欠です。現在、槍平小屋は基本的に1名のスタッフがすべての業務を行うワンオペとなっています。スタッフの感染は、そのまま今季の営業停止にもつながります。もしも、”コロナ慣れ”の気分をお持ちの方がいらっしゃったなら、今一度、緊張感を新たに山へお越し頂きますよう、お願いいたします。