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「眠っている間に、目には見えない夏の隕石が音もなく降ってきて、槍平の冬を終わらせていったのかな?」
雪渓にポッカリ開いた穴からは、飛騨沢の雪解け水が勢いよく流れてゆくのが見えます。今はまだ寒々しいダケカンバの仄白い樹皮からも、新緑の芽吹きを生み出すエネルギーがじんわりと伝わって来るかのよう(2020年5月11日撮影)。
新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、緊急事態宣言がなければ、さらには、緊急事態宣言の延長がなければ、今年の小屋ブログはこんな感じで更新スタート出来るはずでした。そして、今も続く群発地震・・・。
難題が次々に押し寄せるシーズンではありますが、ただ悩むだけでは悔しいので、この状況から何かしら学べることはないだろうか、と。そこで、平常時のシーズンでも珍しくない台風接近時や前線の活動による大雨、登山道上の沢の増水について考えてみました。コロナや地震と一番違う点は、”始まりと終わりが高精度で予測出来る自然現象”だということです。台風進路も前線活発化の予測も、数日前から発表されています。その該当期間を避けるだけで、事故につながる登山はせずに済みます。しかしながら、それが意外に難しいようなのです。「台風来てるけど、とりあえず入山口まで行ってみて・・・」、「せっかくの連休だし・・・」、「SNSで『アタックします!』って、何日も前から言っちゃってるしな。『ヤバかったけど、登りました!』って言うのもカッコいいかな・・・」などなど、ご自身でも心当たりがある方、いらっしゃるかもしれません。事故や遭難につながる原因が自然現象そのものではなく、登山者自身の内面に少なくない割合で存在していることに気づきます。
毎シーズン、槍平小屋ニュースにおいて、特に登山道情報をお伝えする中で「ただ待つだけで手に入る安全があります」という言葉を口が酸っぱくなるほど、というか、キーボードがすり減るほど!?繰り返しお伝えしています。2020年初夏、世界的に困難を抱えた状況には違いないのですが、安全な登山についてもう一度考えるきっかけをもらった、と受け止めることが出来れば、無駄な時間ではないのかもしれません。
昨日更新させてもらった登山道の落石情報、多くの皆様にご覧頂いたようです。これまでもそうだったのですが事故や災害がトピックの場合、閲覧数は猛烈な勢いで伸びて行きます。けれども、これは山小屋ブログの理想的な形からは程遠いものです。あふれる山の魅力をいつもお届け出来れば、閲覧数が少なくともココロ穏やかな更新が出来ます。そして何より、皆様にはスマホやパソコンの画面越しにこの風景をご覧頂くのではなく、ここ、で体感して頂きたいと願っています。山の仕事は”手でワーク”、リモート不可の仕事場です。いましばらくお時間を頂きますが、皆様をお迎え出来るための努力を続けて参りますのでよろしくお願いいたします。
新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた登山について(登山者の皆様へ)・・・岐阜県公式ホームページ
山岳4団体声明(5月27日更新)
※ ヤマップさん(YAMAP)の”山小屋支援プロジェクト”に参加させて頂きました。
※ 山と渓谷社さんの”山小屋エイド基金”に参加させて頂きました。