野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

事後調査計画の見直しが必要

2023-05-25 09:53:04 | 日記

北九州市若松沖洋上風力発電25基の事後調査計画の見直しを求める要望書を日本野鳥の会北九州支部が提出しました!

2023年5月23日、ひびきウインドエナジー社の現地建設事務所で北九州支部のメンバーから、建設所長に要望書を手渡しました。

【事後調査計画に対する要望について】

<事後調査計画その1.>バードストライクの状況を把握するため、25基の風車の内、2基に赤外線カメラを設置し、ブレード回転域範囲の鳥類の飛翔・衝突の状況を24時間自動撮影し、衝突の監視を行う。                       

<北九州支部の意見・要望>画角の狭い監視カメラわずか2基のみで、広大なエリアの25基全体のバードストライク状況を把握できるわけがない。しかも1年間のみであれば、一応監視カメラを使用したという実績を残すだけで、状況把握には到底及ばない。監視カメラは少なくとも当支部が提案した9基とし(風車群の中を野鳥が比較的多く飛翔すると推測するポイントを重点的に)、バードストライクが確認されたら、ただちに現場海域に急行し、死骸を回収、鳥種を確認する必要がある。バードストライクは必ず起きるという観点での対応を行うこと。

事業者が参考にしたというイギリスで設置されている監視カメラは、事後調査に使用するカメラより数段性能が高く、バードストライクを防止するシステムにもなっている。事後調査で使用するカメラが10年前に他の事業で使用されたカメラであれば、バードストライクの状況把握は極めて限定的であり、実態把握には程遠いと言える。

ドイツではバルト海において、1年間に44回ヘリコプターを飛ばし、海上の死骸調査を行った結果、風車1基当たり年間平均32羽の死骸を回収した(合計442羽)。本当に実態を把握する気があるかないかの差であろう。

<事後調査計画その2.>風車の稼働時における渡り鳥(主にハチクマを対象)の状況を調査。秋季(ハチクマの渡り時期)に5日間。海上、陸上の4地点で目視(双眼鏡等で)によって個体数、飛翔ルート、高度等を記録し、検証を行う。           

<北九州支部の意見・要望>ハチクマ(準絶滅危惧種)の渡り調査については、秋季5日間では十分なデータは得られず、少なくとも渡りピークの9月23日前後各1週間は必要である。また、毎年白島に多数渡来し、集団繁殖するオオミズナギドリ(渡り鳥条約対象種)も調査対象にすべきである。絶滅危惧種でなくとも、北九州市内では類を見ない島嶼地域で繁殖するオオミズナギドリは、北九州市内の生物多様性を象徴する野鳥であり、国内でも数少ない集団繁殖地の渡り鳥は重要種である。海上に林立する風車がどのように影響を及ぼすのか、渡来する春季から渡去する秋季まで調査すること。

<事後調査計画その3.>風車の稼働時における鳥類(主にミサゴを対象)の飛翔状況を対象事業実施区域内(海上)7地点及び比較対象地点1地点で調査を行う。調査期間は稼働後の各季3日間。目視によって種名・個体数・高度等を記録する。       

<北九州支部の意見・要望>響灘埋立地の既存風車周辺で死骸発見が続いているミサゴ(準絶滅危惧種)を主な対象とすることは重要であるが、その他出現する鳥類すべても対象とし、海上に林立する風車がどのように影響を及ぼすのか、調査記録する必要がある。風力発電事業者が軽視する普通種であっても、その影響を記録することで、重要種と呼ばれる鳥類の影響軽減につながることを考慮しなければならない。調査期間については、計画日数以外に、年間を通じて毎月の調査が必要である。また24時間運転される風車が、夜間に多く渡る小鳥類への影響をレーダー等を使用して調査をすること。

 今後20年間にも及ぶ運転期間において、わずか1年間だけの事後調査はあまりにも短く、渡り鳥の渡来数変化や気候変動が与える鳥類の行動変化、海上に林立する風車に対する行動変化等を複数年見ていく必要がある。よって、各調査は少なくとも2年以上は実施すること。そして1年毎に調査報告とその対応協議を行い、予め実効性ある衝突防止策を実施し、鳥類への影響回避低減に努めること。20年という長い間、鳥類に犠牲を強いる風力発電施設ならば当然のことと考える。

 この度の事業に出資している各企業においては、各社とも異口同音に「自然環境との調和」「生物多様性の保全」等を行動指針としている。イギリスの風力発電事業社のSPR社は「自然の力を借りて利益を得ているので、その利益を自然環境に還元されるべき」と、動植物の生息地の改善回復、森林の創出、希少種の生息状況のモニタリング等の生態系保全活動を自主的に行っている。この事業者が自然共生に取り組む姿勢を学んでいただきたい。

【ブログ作成者から】この度の要望書提出については、ひびきウインドエナジー社や、事業を後押しする北九州市の動きを見ても、画期的な見直しは期待できませんが、事業者が出す一つ一つの計画に対して、粛々と意見を出していくことも重要と考えています。響灘海域の野鳥たちが被害に遭うことが分かっておりながら、事業見直しさせるための手段を打つことができず、建設開始に至ったことが悔やまれますが、この度の要望に対する事業者の見解を見て、今後の対応を協議し、アクションを起こしていかなければなりません。

 



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