野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

洋上風力発電に侵される福岡県の海

2024-12-10 19:01:02 | 日記

Fukuoka Prefecture's Sea Invaded by Offshore Wind Power

洋上風力発電促進区域~宗像市が懸念表明 Munakata City expressed concern

                                 抜粋引用:長周新聞2024.11.29より

「福岡県響灘沖促進区域」の計画は、5100haの水面を占有し、15000kwの巨大風車を34基(51万kw)建てる計画で、北九州市若松沖で工事が進む洋上風車(9600kw25基2700ha)のおよそ2倍となる規模。沿岸部の漁業関係者や地域住民に甚大な影響を及ぼすことになる。経産省は計画を推し進めていく姿勢だが、地元の宗像市議会は洋上風力発電が地域全体に与える影響を懸念し、福岡県知事に意見書を提出する動きを見せている。

※下図は長周新聞社報道の区域図を引用し、およその距離と、現在建設工事中の北九州市若松沖洋上風力発電25基設置位置を記入したものです。まさに、響灘が洋上風車に侵略される構図です。

準備段階から1年以上、福岡県が何も動いていないことはあり得ない!

 2023年10月、経産省が洋上風力発電の促進区域の準備段階として公表した「福岡県響灘沖」、それから1年以上経て、計画を管轄する福岡県エネルギー政策室は、「利害関係者すべてが入る協議会ができれば、準備段階の次の有望区域になり、協議会で風力発電を建てることが決まれば促進区域になる。福岡県響灘沖の場合はまだ協議会ができる段階にはなっていないので準備段階のままだ。」「利害関係者は響灘沖に位置する福岡県内の漁協と船舶関係の団体で、風力発電をいつ稼働させるかは未定。」と説明。しかし、経産省による準備区域指定以降、福岡県が何も動いていないことはあり得ない。

 響灘沿岸部に位置するとなれば北九州市、芦屋町、岡垣町、宗像市、新宮町、福岡市などの漁業者に関わる問題になる。さらに若松沖風力発電計画の2倍以上の巨大な風力発電が出現すれば、近隣住民に対する低周波被害の影響も避けられない。しかし、経産省も福岡県もほとんど情報を流さないまま、建設に向けた手続きを進めている。

近くに好漁場や世界遺産 

Fishing grounds and world heritage sites are located near the wind power project.

 こうしたなか、2022年3月に宗像市議会が福岡県知事に意見書を提出している。
福岡県が指定検討を進めている促進区域は、本市における漁業者にとって極めて重要な漁場であることも事実であり、促進区域の指定により、漁業への大きな影響が懸念される。
関係する漁業者の一定の理解がなければ、容易に指定を容認することはできない。
魚はどこでも獲れるような考えを持ってもらっては困る。仮に促進区域以外の漁場に移動すれば必ず他の漁業者との軋轢を生むことになるのではないかと、漁業者のなかには心配する声もある。
今、県が進めようとしている促進区域は太古から先祖代々受け継がれてきた豊穣の場であり、農業でいえば田畑と同じ。単に風車の設置条件に見合った海域だからといって促進区域に指定するといった単純なものでないことをしっかりと受け止めていただきたい。
沖ノ島は地元漁業者が代々守り続けてきた“神宿る島”であり、国・県・本市もその価値の尊さを十分に認識したうえで、世界遺産登録に尽力した経緯からも、今後推進していこうとする海洋再生エネルギーに関わる海域の促進区域指定には十分考慮していただきたい。
と述べ、福岡県に「①利害関係者(特に漁業者)との協議の場を設けること。②洋上風力発電の具体的内容に係る情報提供をすること。③世界遺産“『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群”への影響に関わる情報提供をすること」を求めている。
Fisheries will be negatively impacted.  World Heritage sites must not be affected.

【ブログ作成者から】
 今から7年前の2017年12月、北九州市が開催した「響灘一般海域洋上風力発電ゾーニング検討に係る地域連絡協議会」において、下記のような意見が出されていました。
ICOMOSは、沖ノ島を見ることができる洋上と陸上の範囲における風力発電施設では、開発を禁止するよう勧告している。(福岡県世界遺産登録推進室より)
宗像市も推進しているような印象を与えないように。筑前大島の御嶽山山頂からの景観範囲を留意すべきエリアとしていただきたい。御嶽山からは25km先まで見ることができる。(宗像市世界遺産登録推進室より)
 そして、漁業関係者からは、
海底ケーブルを敷設する範囲では、底引き網ができなくなる。(福岡県漁業管理課より)
6月~11月のごち網猟の区域については、設置可能エリアから外すこと。(遠賀漁協より)
岡垣・遠賀だけで約2千名の漁業者がおり、糸島方面からも操業している。対象海域での漁業に支障があるのではないか。(福岡県漁連)
一般海域については、福岡県の海域というものはない。隣県と協議しながら漁業エリアを決めている。風力発電を推進する立場にない。(福岡県漁業管理課より)Fishermen protest !
 さらに、航空自衛隊芦屋基地からは、
航空法に基づく進入表面、転移表面、または水平表面の上にでる高さの構造物の建設は禁止である。また自衛隊の任務・安全に影響を及ぼす可能性がある。管制圏、芦屋救援隊の任務範囲等、芦屋基地の任務範囲は風車設置除外とする。

 以上、かなり厳しい意見が出たことは記憶に新しいです。そして今回の促進区域への宗像市議会の主張もかなり強固であることを踏まえれば、促進区域指定は難しいかもしれません。福岡県総合政策課エネルギー政策室はこの協議会に委員として出席していたので、促進区域に対する宗像市のスタンスは分かっているはずですが。
 九州・山口の中でも、漁業者からの理解が得られず、促進区域指定を断念した計画がありますが、宗像市の漁業者の意見に周辺の漁業者も呼応するかもしれません。自然エネルギーによるCO2削減が、本当に地球温暖化防止になるのかという議論もある中、それよりも、漁業者の生活が優先だという主張は理解できます。ただ、促進区域議論では漁業者との協議が主で、海域に生息する鳥類への影響についてはたぶん議論されず、具体的な計画になってから、環境アセスで事前調査するからと、後回しにされるような気がします。

 北九州市が2016年頃から響灘一般海域におけるゾーニングマップ作成にトライし、その後作成した「一次スクリーニング(風力発電設置困難)MAP」に促進区域を置いてみると、設置困難とはいえないエリアですが、鳥類への影響からは安易に設置できるようなエリアではありません。一方、現在建設工事が行われている洋上風力発電25基は設置困難区域の真ん中です。北九州市が誘致して、計画されたのがこれより以前だったので、問題ないということでしょうか。
 このときに調査した鳥類調査記録表(2018年~2019年に実施)では、2018年8月に約3000羽、2019年4月には約5700羽のオオミズナギドリが確認されています。2022年においても、日本野鳥の会北九州支部会員の船上観察によって、筑前大島沖から若松区沖の白島にかけても、5月、10月に各1000羽以上のオオミズナギドリが確認されています。

 遠くオーストラリア周辺から日本に渡って来て、白島で集団繁殖するオオミズナギドリの採餌場が、洋上風力発電に侵されるのをなんとか喰い止めなければと思うばかりで、さて、どうしたものかと悩むばかりです。漁業者に魚の群れを教えてくれるオオミズナギドリですから、漁業者と連携し、行動を起こすことができればいいのですが。

Let's protect Fukuoka Prefecture's oceans for fisheries and Streaked Shearwater.

We want wind power to be wild birds friendly.

Association to protect wild birds from wind power

 

 



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