野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

また20年間野鳥に犠牲を強いるのか!

2023-04-25 20:17:33 | 日記

海の上を飛ぶ多くの野鳥が風車の羽根に弾き飛ばされるのがわかっておきながら、建設工事が始まってしまいました!

 今日(4月25日)、「響灘大規模(25基)洋上風力発電(北九州響灘洋上ウインドファーム)」の建設起工式が行われたことがテレビで放映されました。早速、野鳥たちへの影響を心配する方からメールが届きました。日本野鳥の会北九州支部は計画発表当初から、野鳥たちに悪影響を及ぼすことや、響灘海域の生物多様性が危うくなることを再三述べ、このまま事業を進めるべきではないと訴えてきましたが、風力発電事業者や誘致した北九州市に理解してもらえず、今日の起工式となってしまいました。野鳥をシンボルとする保護団体として、野鳥たちの代弁者として残念です。しかし、ひるむことなく、次のアクションを起こさねばなりません。

 公表されている運転開始後の事後調査(風車が回り始めることによる野鳥への影響を調べる)はわずか1年間です。巨大な風車が林立し、20年以上も運転する影響がわずか1年でわかるはずはありません。渡ってくる渡り鳥たちの数も毎年異なります。近年変動の激しい気候によっても、野鳥たちの行動も変わります。にもかかわらず、ただ事後調査をしたという実績を残し、調査結果は「鳥類への影響は予測通り軽減できている」の決まり文句となるでしょう。

 この事業の共同出資企業は九州の名だたる大企業です。各社とも異口同音に「自然環境との調和」「生物多様性の保全」などを行動指針としています。であるのに、野鳥たちに対する実効性ある影響軽減策はゼロです。利益のためには野鳥たちの犠牲を容認しているのと同じです。行動指針は“絵にかいた餅”なのでしょう。

 風力発電先進国イギリスの風力発電事業者であるスコティッシュパワーリニューアブル社は、風力発電事業で失われた、もしくは影響を受けた自然環境に対して、その自然回復や希少種のモニタリングなど、生態系保全活動を行っています。風力発電事業が自然や野生生物に与える影響が大きいからこそ、生態系保全活動を自主的にやっているようです。この事業者の自然共生の取り組みを少しは学んで欲しいものです。

★新聞報道によると、現在、新型コロナ禍による建設の遅れや資材高騰で、世界的に風力発電の事業性は厳しさを増しているようです。海外の事業に参画した日本の電力会社が巨額の損失を計上したり、洋上風力発電事業で世界首位のデンマークの企業ではコスト増に加え、売電価格が下がり、収益力が低下しているという。響灘洋上ウインドファーム事業も影響を受け、出資企業が計数百億円を追加負担。「出資額に対する採算性はすでにぎりぎりのライン。今後、建設や運用でさらに想定外のことが起きると、赤字になりかねない。」と関係者は懸念する。(西日本新聞 2023年4月26日)

 「このまま建設工事を進め、稼働しても採算が取れるかどうか.....ひょっとしたら赤字の事業になるかも。野鳥への影響軽減策に手間をかけ費用をかけるなど考えられない。」と事業者は言いたいのかもしれません。しかし、採算が取れても取れなくても、「環境にやさしい風力発電」は野鳥対策をきちんと実施すべきです。 “野鳥への配慮もできそうにない”  ”企業の行動指針にも反する” となると、事業を進めない方がいいのでは? 早々に建設中止した方が賢明では? 事業者さん、誘致した北九州市さん、いかがですか。もう引くに引けない、進むしかないのでしょうか。

 CO2削減とエネルギーの自給を大義名分言い訳にした風力発電の無分別な建設、利益追求と地域経済効果のため自然環境への影響をないがしろにする事業者や誘致する自治体など、野鳥たちと私たち保護団体を取り巻く状況は厳しいですが、私たちがモノ申さなければ、なおさらに事態は悪化の一途のような気がします。海あり、山あり、川あり、高原あり、干潟あり、南西諸島から北海道まで、多様な自然を有している日本です。今こそ「野鳥も人も地球のなかま」「本当に環境にやさしい自然エネルギー」を考えて行動に移しましょう。皆様の応援をよろしくお願いします。

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿