野鳥にもやさしい風力発電であってほしい・・・

私たちが使っている電気、野鳥たちが犠牲になっている!たかが鳥なのか・・・。

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち②

2024-11-22 13:22:43 | 日記

響灘洋上風力発電の影響を受ける野鳥たち② Birds in danger of colliding with Hibikinada offshore wind turbines

危険が迫る野鳥たち

◆カモメ類 Gulls photo:ズグロカモメ(曽根干潟)ⒸS.TAKAHASHI 

        

 カモメ類は、1年中見かけるウミネコと、越冬のために飛来するユリカモメやセグロカモメなどが沿岸や河口などで見ることができます。今後、洋上風力発電がさらに増えれば、風車の羽根の回転範囲の高さを飛ぶトビなどと同じように、カモメ類の衝突死が増えることは間違いないでしょう。しかし、海上に落下すれば波に流され、死骸は不明となります。よって、衝突死は把握できずに、カモメ類への影響は小さいとされてしまうでしょう。

 国内で公表された風車への衝突数で圧倒的に多いのはタカ類ですが(2023年3月時点で210羽)、それに次いでカモメ類が多く、2023年3月時点で68羽です。タカ類が2019年から31羽増えていますが、カモメ類は変わりません。海や湖、河口などに落下した場合、発見される可能性が低いことが理由でしょう。

 カモメ類は世界で最も個体数が多い野鳥ではないかと言われているだけに、風車への衝突死は軽視されがちですが、数が多いからといって、あるいは重要種ではないからといって、軽視することは慎まなければなりません。自然界の生態系は微妙なバランスで保たれており、それを壊すのは私たち人間による開発行為であることを認識しておく必要があります。

◆カモ類 Ducks 

 カモ類の多くは冬期に越冬のため渡来し、内陸の湖沼や農業用ため池、ダム湖、河川、河口から海域まで、広く見ることができます。群れで行動するため、移動の際に高く飛びあがり風車に次々と衝突する恐れがあります。国内で公表されたカモ類の衝突としては、マガモ、カルガモ、コガモ、スズガモなどですが、響灘沿岸に10基並んだ風車(撤去済み)に衝突した可能性が高い、体の上部と下部が断裂したカルガモの死骸が発見されています。海外では、風車の後部において発生する乱気流に巻き込まれて、海上に落鳥したカモ類の事例もあります。

 響灘の周辺には港湾水路や貯水池、ため池などが多く、多種類のカモ類が多数越冬しています。夜間、採餌のために海上と陸上を往復する際、洋上風車の羽根に弾き飛ばされ、乱気流に巻き込まれ、海上に落鳥しても、ほぼ発見されることなく、カモ類への影響は小さいとなってしまいます。比較的大きな体のカモ類は発見も難しくないため、風車に近づいたら回転を停止することぐらいは簡単でしょうが、事業者はたかが鳥のために手間ひまかけたくないのでしょう。生きものにやさしくないですね。

◆コアジサシ(カモメ科)絶滅危惧種・種の保存法国際指定種 英名:Little Tern photo:ⒸM.IWAMOTO

           

 コアジサシは夏鳥として4月頃に渡来し、10月頃まで滞在。海岸、河口、湖沼などの砂礫地で集団で営巣し、地上に浅いくぼみをつくり、小石や貝殻を敷いて巣とします。埋立地や更地になった工場地帯の砂礫地にも営巣します。水面の上空を飛び、空中でホバリングしながら小魚を探し、水中にダイビングして捕らえます。北九州市内では、北九州空港ができる以前の人工島で、大群が連続して営巣繁殖していた時期がありましたが、現在の北九州市内では、北九州空港周辺や響灘埋立地の企業敷地に時折大群が渡来していますが、持続安定した営巣繁殖は確認できていません。

 国内でのアジサシ類の風車への衝突死発見事例は少ないですが、ヨーロッパのベルギーの沿岸浅海域では、アジサシ類の繁殖期において、2年続けて160羽以上の衝突死が確認されています。今後、洋上風力発電が増えていけば、響灘海域で採餌をするコアジサシの風車衝突が増えるのは間違いないでしょう。国内におけるコアジサシの営巣場所が激減するなか、絶滅への懸念がさらに増すことになるかもしれません。

◆ハヤブサ(ハヤブサ科)絶滅危惧種・種の保存法国内指定種 英名:Peregrine Falcon photo:ⒸM.KAWASAKI

              

 ご存知、鳥類最速のスピードで飛翔するハヤブサですが、海峡を渡るヒヨドリの群れを襲ったり、市街地でハトなどを捕獲してなんとか生存しているようです。このハヤブサ、風車の怖さを知っているのかどうか、風車のナセル(発電機などが内蔵されている)に平然と?止まっているのが目撃されたことがあります。たぶん、風車は回っていなかったと思いますが、ハヤブサが風車を危険なものと認識し、近づかないことを願うばかりです。国内でも海外でも風車に衝突した報告は少ないですが、ハヤブサのなかまのチョウゲンボウやチゴハヤブサも衝突死しています。高速で飛翔するハヤブサたちも、やはり巨大な風車を危険なものと認識できず、はねられてしまうのでしょう。
生態系の上位にあるハヤブサが生息する自然環境は優れた生態系であると言えます。風車の存在を嫌がってハヤブサがいなくなったり、風車に衝突していなくなれば、生態系バランスは崩れてしまいます。生物多様性にも影響します。こんな簡単なことがわからない事業者ではないはずです。誘致した北九州市は生物多様性を “一応” 重視しているのでなおさらです。それでも「たかが鳥」なんでしょうか。

つづく

We want wind power to be wild birds friendly.

Association to protect wild birds from wind power

 



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