下関市豊浦町洋上風力発電計画
【計画の概要】
温泉と「瓦そば」で有名な川棚温泉の豊浦町ですが、本州最西端の毘沙ノ鼻から湯玉にかけての沖に34基(着床式)の風力発電が計画されています。~下図参照(長周新聞社記事を参考に作成)
ドイツRWE社の日本法人「RWEリニュワブルズジャパン合同会社」が計画。国の促進区域にならないと事業は難しいとのことで、9年~10年後の稼働予定か? 沿岸の住民からは景観が壊されることを懸念する声が出ているという。10年以上前から水面下で誘致の動きがあり、住民軽視の計画は、地域を二分した「安岡沖洋上風力発電計画」の二の舞となるのでしょうか。
<下関市長「反対しないでほしい」と発言>
「景観の問題など、先頭に立って理解が得られるよう進めていきたい」「風力発電は固定資産税だけでなく、秋田県のように新たな産業として雇用が生まれる」「安岡の人たちは反対しないでほしい」この市長の発言に市民は「事業者ありきの推進だ」「洋上風力発電の贈収賄事件が問題になっているが、下関はどうなのか」と話している。2021年12月の豊浦町での住民説明会では、低周波による健康被害や、長年地域が守ってきた景観の破壊を指摘する声が多く、どの会場でも反対意見が圧倒したという。
10年前、下関市安岡沖に洋上風力発電計画が持ち上がったとき、住民は学習を重ね、健康被害で地域に住めなくなる人が出ること、漁場が破壊され漁業者が生活の糧を奪われることなどを訴えて10万筆の反対署名を集めた。1000人デモを何度もやり、暑い日も寒い日も道路沿いに立って訴え続けた。事業者によるスラップ訴訟(※)にも負けず、漁師さんたちも補償金を受けとらず、計画を頓挫に追い込んだ。反対する会は活動を「休止」としているが、いざというときには再開すると語っている。(※)市民からの批判や反対活動に対して企業が名誉棄損などの理由で損害賠償などの訴訟を起こすこと。(抜粋引用:長周新聞社2023年9月25日付記事より)
【ブログ作成者から】
安岡沖風力発電計画に対して「住民の理解を得ていない事業は進めるべきでない」と発言した下関市長は一転、「反対しないでほしい」の発言に住民は驚きと共にその変節ぶりに戸惑っていることでしょう。洋上風力発電が及ぼす影響について学習し経験してきた下関市民の今後の動向が注目されます。毘沙の鼻から川棚、小串、湯玉にかけての海岸から望む自然景観と、住民への健康被害と漁業への影響、さらに私たちが懸念する野鳥への影響など、懸念というより現実の問題として考えなければなりません。北九州の響灘に続く海域として、住民目線で大いに関心を持っていこうと思います。
長門市洋上風力発電計画
【計画の概要】
山口県長門市の油谷(ゆや)地区川尻岬から最短で約10kmの海域(水深50~100m)に70基の浮体式風車の設置を計画。事業者の「MOT総合研究所」は「2026年度には着工したい」との意向。長門市は積極的に推進誘致しているという。~下図参照(長周新聞社記事を参考に作成)
「長門だけの問題ではない!」
計画対象海域は潮の流れが良く、魚が集まりやすい。萩や下関からも漁をしている。説明を受けた萩の漁協は「組合員に説明できるような話ではない。賛成できない!」「長門だけの問題ではない!」(抜粋引用:長周新聞社記事より)
【ブログ作成者から】
若い頃、川尻岬にキャンプに行きましたが、北九州の海と違って(失礼)海の透明感がすごく、濃い青緑色の深い海だったことを今でも記憶しています。そして時を経て、バードウオッチングが趣味となり、川尻岬の手前にある角島(つのしま)に、渡り鳥を見に出かけるようになりました。北九州ではあまり見ることができない野鳥に会いに通い続けました。春まだ早い頃、灯台の上をぱらぱらと西方向に飛んでいくハイタカを見上げ、見れればラッキーというヤツガシラにも会えるなど、渡り鳥たちのコースであることを実感したものです。その角島や川尻岬の沖合に風車が建ち、漁業資源や野鳥に影響を及ぼすであろうことは、この海域の生きものに関心のある人なら容易に想像できます。「海岸から遠く離して建てれば、文句は言われないだろう」と、事業者は踏んでいるかもしれませんが、簡単に近づくことができない、目の届かない所で、どんな影響が起きるのか、洋上風力発電の影響がますます闇に葬られていくことになることでしょう。