オメガねこ

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「経常収支」 と 「金融収支」

2020年07月06日 | 経済
 「国際収支」には、モノやサービスの様に「実体の有る経常収支」と、資本の移動のように「実体の無い資本収支」が有ります。また、此れらとは反対方向になる「金融収支」もあり全体としては釣り合う事に成ります。

 以前は「国際収支=経常収支+資本収支≒0」と書かれる事が有ったようですが、ここでは解りやすいように現在の方式である、

 国際収支=経常収支+資本収支-金融収支≒0
 経常収支=貿易収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支(援助など)

と、します。「≒0」は統計上の差異で、計算時期のズレや不法行為等も含まれます。

貿易収支  :モノの輸出入収支。
サービス収支:国境をまたぐ、旅行やネットによる(個人的な)商品購入など。
所得収支  :報酬、投資収益、その他の所得の収支。
経常移転収支:援助など。

資本収支:投資元本の収支で、外国資産を買うとマイナス、自国資産を外国に売るとプラスになる。
金融収支:外国国債を買うとマイナス、自国国債を外国に売るとプラスになる。

 資本の移動には通貨(貨幣ではない)が移動するので「実体が有る」ようにも見えますが、実際には「数字が書き換えられる」だけなので、通貨を見ることは出来ません。例えば、日本企業が米国企業に一億円の出資する場合は、日本企業の通帳から「一億円」を減額して米国企業の通帳に「1million$」と記入します。同時に「出資証券(株式)」が送られて来るかもしれませんが、恐らくはクラウド上に記録されているだけだと思います。

 或いは、日本国に住んでいる日本国民がアメリカに別荘地を買う為に「一億円」を支払うと、アメリカの土地所有者の通帳に「1million$」と印刷されて土地の「所有権」が移転されます。しかし、新しい土地所有者は日本国にその土地を持ち帰ることは出来ないので、「実体の無い資本収支」と言えます。

 「一方的な援助」を除く経常収支や資本収支は「モノと通貨の等価交換」なので、「自国通貨発行権の有る国家」の経常収支では、赤字・黒字は損得とは関係ありません。「欲しい本を買って損をした」とは言わないのと同じです。一方、
「税収とGDP」とは正の相関関係が有るので、国内供給(自給自足)量を増やす必要が有ります。

 アメリカは貿易赤字を抱え込んでいてその赤字額は巨大です。また、トランプ以前はアメリカ企業の海外進出もあり、資本収支は赤字(定義の違いでは黒字の場合も有る)でした。最近では、国内投資を増やす為に、海外資産や投資を国内の戻しているので、恐らく資本収支は黒字に向かっていると思いますが、貿易赤字が減らないので債務残高は増加し続けます。

 しかし、アメリカが経済的に破綻(破産)する事は有りません。それは、赤字の反対側に「(ほゞ同額の)金融収支の黒字」が有るからです。アメリカ国債は米ドル建てなので、アメリカに「供給余力」が有る(インフレが過大にならない)限り、破綻しないことは
「MMT」で説明しています。

 アメリカは、貿易戦争で輸入が途絶えても、自国での「供給余力」を確保するために、自国企業を引き戻しています。ところが、日本の企業は今でも「中国には更に新規投資をする」ト、ヨタ話をしています。(「ト」は「と」の間違いですw)

 「資本移動の自由」が認められていない中国に投資された資金は、日本に引き上げることは出来ないので「資本収支」とは言えず、中国への「経常移転収支(援助など)」に含まれるので、日本から見れば赤字が確定します。




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