オメガねこ

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「自由」と「不自由」

2019年05月01日 | 経済
フリーダム(Freedom ):自分自身に対する(自然からの)積極的な自由で、解放された状態。
リバティ(Liberty) :他人(体制)に制約されない(人工的な)、消極的な自由。
リベラル(Liberal) :因習や体制に制約されない、積極的な自由。

Free(自由)は上記の解釈とは別の意味が与えられています。
 
 フリーフォール(自由落下)は、見た目は「自由」に落ちているようにも見えますが、実際は重力に拘束されて落ちる(引き寄せられる)現象であり、しかも空気の影響で減速します。極めて「不自由」な状態とも言えます。
 
 自由貿易(フリートレード)のフリーは自由を意味している様にも見えます。この意味からすると関税も自由にかけられそうに思えますが、本来の意味は主に「Taxfree(無税)」を意味し、関税による国内産業の保護を認めない為、脆弱な産業は衰退し社会保障の負担が増加します。
つまり、強い者は「自由」を得ることが出来ますが、弱いものは「不自由」を強いられます。
 
 少し前に話題になった「隠れキリシタン」に関係する例では、ポルトガル人が勝手に長崎を「イエズス会領」にし、キリスト教に改宗しなかった日本人をキリしタン大名の協力も得て、奴隷として「自由に輸出」もしていました。この事を知った豊臣秀吉が「伴天連(宣教師)追放令」を出し、イエズス会による貿易の独占を禁止し、他の商人にもイエズス会の支配を受けない「自由な貿易」が出来るようにしました。勿論、伴天連の往来は、宣教をしない事を条件に認められていて、これは今で言う「自由貿易特区」です。地域限定で「自由貿易」を認めると云う事ですが、この「自由」は他の地域に対しては「不自由」を強いる結果になります。
 
 TPP(Trans-Pacific Partnership Agreement)は環太平洋パートナーシップ協定と訳され「自由貿易」を意味する訳では有りません。加盟国が協定を結び、協定外の他国企業を排除しやすくする為に結ばれるブロック経済協定です。個人や企業が自由に貿易が出来る「自由貿易」ではなく、これは「不自由」な貿易で「地域限定無関税貿易」と言うべきです。米国のTPP不参加を「米国の保護主義」と言われてますが、トランプ大統領は貿易関税を自由にかけています。
 
 「自由の女神像」は英語で Statue of Liberty (自由の彫像)ですが、、フランスから贈呈されたローマ神話の「自由の女神」リベルタスをかたどった立像です。
しかし、キリスト教の神は唯一神ゴッドであり、女神は存在しません。「自由」を象徴する彫像ですら、その命名は「不自由」です。
 
 自由民主党は英語で「Liberal Democratic Party of Japan」です。自民党自身は体制の主体(を目指し)ながら党名は「体制に制約されない自由」を標榜しています。
リベラルは進歩的と言う意味もあり、保守政党ではない事は明らかです。自民党の中には「保守」を自認する人も見られますが、「保守」はリベラルではなく「コンサーバティブ」です。
自由民主党以外の日本のXX民主党は、進歩的かどうかは判りませんが「体制に制約されない自由」を満喫して、メチャクチャやっています。党名を入れ替えた方が良いと思われます。
 
 ある人の「自由」は、他人の「不自由」があってこそ成り立つモノです。「自由」を主張する人は謙虚でなくてはなりませんが、謙虚な人は「不自由」を強いられます。

 


2 コメント

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mobileさんへ。 (テレビとうさん)
2019-05-02 07:44:50
コメント有難うございます。

神道の「風習」が残っている日本人は「無意識の自由」に守られていますが、多くの白人(と黄色い白人)には、この「事実」が「原始的な宗教」に拘束されている様に見えていると思います。

「自由」を意識すると「不自由」になります。
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Unknown (mobilis-in-mobili)
2019-05-01 23:50:16
実存主義を提唱したサルトルは言った『自由とは恐怖である』と。神からも離れた個人の自由はまさに恐怖であったろうと思われる。
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