オメガねこ

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「倫理」 と 「道徳」 ①Ⅱ

2019年12月26日 | 倫理・道徳
 ネタ切れに付き、過去記事の「編集・加筆」です。

道徳: 人間が「無意識」の内に、世の中に存在している正邪・善悪の個人的な認識。
倫理: 人間が「有意識」に於いて、世の中から与えられる正邪・善悪の集団的な認識。

 道徳的行動は自分の価値観に依存し、倫理的行動は他人の価値観に依存します。小学校の「道徳」の教科書には「自分が良いと思う事は、すすんで実行しましょう。」と、書かれていますが「・・・をしましょう。」は道徳的ではなく、その行動が正しいとすれば「倫理的」です。

 自分が良いと思っても、他人は必ずしも善いとは思わない事が有ります。例えば、反基地闘争等に於いて、活動家の多くは平和の為に善かれと思って行動しているとされています。この「独善的な”道徳教科書”」で勉強した人には「道徳的」に正しい行動となりますが、多くの場合は違法行為も含めて「倫理感」の欠如が見られます。近くにいる仲間も、当人と同様に、善かれと思って行動しているので「倫理的」にも正しく見えますが、更に外側の多くの他人の価値観を考えると、「倫理的」な正当性が有るとは限りません。

 「道徳」と「倫理」が相反関係になる事はよくあります。

 自動車の運転で制限速度を10%程度超過しても、流れに沿って走るのならば妥当と考える人は多いと思いますが、これは多くの他人の価値観と同じなので「倫理的」に正しいとも言えます。実際、違反行為なのですが捕まる事は殆ど有りません。ところが、これを「道徳的」に正しいと判断し、単独で走っている時も常に超過速度で走行する人がいます。これは「倫理的」には間違っています。

 他人の視線は兎も角、制限速度に拘わらず「自分の判断で安全速度で走行」するのが「道徳」であり、安全かどうかに拘わらず「集団で決めた制限速度以下でで走行」するのが「倫理」です。

【 違法行為 と 主義 の関係性 】
・民主主義: 道徳的には正しい事も有り得ますが、倫理的には必ず間違いとなります。
・自由主義(リバタリアニズム): 道徳や倫理が優先され、法律は付随的に必要になります。
・自由民主主義(リベラリズム): 法律が優先され、道徳や倫理は法律の範囲内で認められます。
・独裁主義: 独裁者の決めた倫理規定のみが有効となり、それが法律になります。当然ながら自分自身が善悪を決めることは出来ないので、道徳の観念自体が否定されます。
・共産主義: 共産党が定める法律に反する事は総て悪事となるので、道徳や倫理は無効です。
・理想主義(ユートピア): 論理的に存在し得ないのですが、道徳や倫理だけで行動し、法律の存在そのものが無効となります。

 江戸時代は「道徳的」に正しい事は絶対で、更に「倫理的」に正しければ違法行為でも名誉は保障されました。但し、切腹等、自ら裁断を下す必要があります。これは、死を含めて自ら総てを決定すると云う意味からすると、リバタリアニズムとも言えます。自由主義の行きつく先は「江戸主義」かも知れません。



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