「私刑」 と 「死刑」

　人権派？弁護士や法学研究者の過半数が「死刑制度の廃止」を主張していると報道されています。

　「死刑制度」が廃止されれば、加害者は被害者の親族による「仇討ち（私刑）」の脅威に曝される事も有ります。 常識で考えれば、仇討ちによる殺人の刑罰は、元の殺人者より軽いと思われるので当然の推論です。最初の殺人犯が死刑にならなければ、仇討ちをした「殺人犯」も当然死刑になる事はないからです。

　当然ながら、犯罪者に対する「私刑」の脅威は非人道的なので、これは「人道による死刑反対論者」の矛盾です。 逆に、「死刑制度」による犯罪の防止・威嚇効果が有ると主張する場合は、仇討ちも「死刑」の対象になり得るので、「私刑」を躊躇させる効果が有るとも言えます。これは、人道的です。

　「死刑制度」の無い外国の例では、死刑相当の犯罪か如何かを問わず、犯行時や犯行の疑いのみで、警察によって（正当防衛として）殺害される事例があり、これは非人道的と言えます。

　日本で「死刑制度」が廃止された場合、「死刑相当」の犯罪者を仇討ちから保護するために、税金を投入しなくてはなりません。国民の人権を侵害した犯罪者の人権を、国民の税金で保護し、逆に被害者の親族は監視され人権が制限される事になります。

　「死刑制度」による犯罪の防止・威嚇効果は無いと主張する人は、当然ながら「死刑制度」による仇討ちの防止効果も無いと主張する筈で、これは「仇討ち」の可能性を認める事になります。これは矛盾であり、且つ非人道的です。 また、「死刑制度」の無い国でも、仇討ちは殆ど無いと主張する人も居るとは思いますが、それは仇討ちをするにしても、警察に見つかると射殺される恐れがあるからで、死の恐怖が殺人の防止効果がある事の証左とも言えます。 勿論、自殺願望のある犯罪者には「死刑制度」は意味を持ちません。

　「死刑制度」が無い国で、事件現場で警察に射殺され、結果として殺人未遂になった場合、統計としては殺人事件が減る事になります。殺人に至った場合でも、犯人は警察にその場で射殺される事が有る為、裁判に拠らず実質的に「処刑」される事になります。 所謂人道主義者はこれを、「死刑制度」が無くても犯罪率は増えないとの主張に使います。

　日本には「死刑制度」が有って、容疑者が事件現場で警察に射殺される事が殆ど無いので、結果として裁判による「死刑執行」が多くなります。 これは、統計のマジックであり、死刑に関する犯罪率や人道性の世界比較は無意味です。

　各国それぞれに歴史と伝統があり、その結果成立した法律に従うべきです。