「平和憲法を一度でも改正したら、戦争に繋がる。」と言う人がいます。
これは「戦前の日本は軍国主義で、戦後に米国から民主主義を教えられた。」と云うプロパガンダに騙されたか、これを利用して金儲けをした戦後利得者たちの理屈です。
戦前の報道機関は戦争を煽り、それに乗せられた国民の多くが開戦を支持しました。その結果として戦争が始まったので、戦前も民主主義が機能していたと言えます。これは、憲法の問題ではなく民主主義の欠陥です。
また、日本以外の国では、憲法は適時改正されています。つまり「憲法擁護派」は、これらの国々は戦争に近づいていると思っている事になります。日本の「憲法擁護派」は、世界中が戦争に近づいている中、日本だけは憲法のお陰で平和でいられると思っていると云う事です。
江戸時代の日本は平和でしたが、世界中は侵略戦争の真っ最中でした。憲法を保有している先進国は大清帝国の植民地化を計画し、その足掛かりとして日本を侵略する予定でしたが、日本国は明治維新を経て明治憲法を制定し、植民地化を免れました。この事は、憲法によって平和が保たれた良い例だと思いますが、太平洋戦争(日米戦争)は明治憲法の不備を改正できなかった事にも一因があります。
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ここで、「憲法(constitution)」と書きましたが、constitutionは「国家体制法」の意味で有り「憲法律、又は、憲法典」と訳すべきで、本来の意味での「憲法」は「17条の憲法(いつくしきのり)」に書いてあるように、その国の歴史観に基づく「道徳規範」の事です。 法とは「物事に秩序を与えるもの」であり、これを文章化したものが「法律・法典、或いは法則」です。
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明治憲法の上諭に「・・・将来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ・・・現在及将来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ニ従順ノ義務ヲ負フヘシ」
現代語訳では「・・・将来、この憲法のある条文を改正する必要が出たときは、朕および朕の子孫はその改正を発議し、・・・現在及将来の国民は、この憲法に対し永遠に従順の義務を負う。」と書かれています。
欽定憲法(典)である明治憲法が、その改正手続きを経て昭和憲法に改正されている事から、昭和憲法は昭和天皇の勅命によって「憲法ノ或ル条章」のみが全面改正された欽定憲法と言えます。つまり、明治憲法の一部を為すがその条章ではない「上諭」は改正や破棄はされていない(出来ない)と云う事です。
「明治憲法の上諭」は天皇の詔勅なのですが、昭和憲法第98条で「・・・その条規に反する法律、命令、詔勅は無効・・・」とされていて、この理由で明治憲法の上諭が無効と言うのなら、昭和憲法は明治憲法に反する事になり、昭和憲法自体が無効である事を意味します。
反対に、明治憲法の上諭が昭和憲法に反していないと解釈するならば、上諭は有効であり、そこに書かれている「・・・国家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ・・・(・・・国家を統治する大権は朕がこれを祖宗より受け継ぎ、また子孫へと伝えていくものである。・・・)」と書いてある様に、天皇大権を認める事になります。これは、昭和憲法の複数の条項を否定する事になります。
「昭和憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と、有るように、民間人には、昭和憲法に従う義務は有りません。国民の義務として書かれているのは、勤労・教育と納税の義務だけです。 また、昭和憲法第96条には、この憲法の改正要件が書かれていますが、「憲法廃止(破棄)の禁止」は書かれていません。
何れにしても、和憲法の存在自体が否定的であり、無効と言えます。 「無効な憲法」を「擁護」したり「改正」する事は、法治国家とは言えません。
昭和憲法は「破棄」すべきです。
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