オメガねこ

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「プライマリーバランス」と「統計学」

2019年06月07日 | 経済

プライマリーバランス(PB:基礎的財政収支)は「統計学上の政治経済指標」の一つです。PBは民間の経済活動の結果が政府の財政収支に影響する指標であり、景気回復時にはPBが改善しやすくなることが分かっています。 PBはの経済政策の結果であって、目的ではありません。

PBを改善する目的で、消費税率を上げたり歳出を減らしても全く意味がなく、と言うより逆に、消費税などを上げると家計の可処分所得が減り、当然消費額も減るので、寧ろPBは悪化します。

実際に、アルゼンチンは1990年代初頭にIMFによる融資の条件である「2003年度までにPBを均衡させる事こと」を受け入れ、増税と歳出削減により2001年初頭にPBの黒字化を達成しましたが、同年の暮れには財政破綻をしました。ギリシャも同様に、PB黒字化の後に財政破たんをしました。 これは二重の失敗が重なった為に、破綻が早まったと言えます。それは、外貨建ての借金をした事と、「PB均衡」を目的にした事です。 EU諸国は総ての国が、本来の自国通貨では無いユーロ通貨なので、能力以上に借金をすると必ず破綻します。

日本も「PB均衡」を政策にしていますが、外貨建ての借金をしていないので、「GDPの0%成長」で済んでいます。

PBは国家経済の指標であり、家計の収支バランスとは違います。 家計では賃金や借入金が収入になり、消費や借入金の元利払いが支出となります。家計では借入金の借り換えが難しい為、返済が出来なくなった場合は破産します。 しかし、家庭内での貸し借りは家計に含まれず、喧嘩になる事は有っても、破産する事は有りません。

日本国の場合はPBが悪化しても、借りているのは日本国民が造った日本国政府で、貸しているのは日本国政府を造った日本国民なので、云わば親子関係の貸し借りに過ぎません。当然、継続的に借り換える事も可能です。 現在の政府負債のみを見ると、1000兆円あり国民一人当たり800万円の負債であると財務省は言ってますが、実際には国民一人当たり800万円の財産(貸し金)であり、将来の子孫に対する遺産でもあります。

消費税率を上げると、増税額分だけ家計への分配額が減り政府に移転されます。日本のGDPは民間消費が60%を占めている為、その影響は大きく、民間需要の減少として現れます。それどころか、現在は財政緊縮政策を実行している為、更なる需要の減少となります。GDPの三面等価の原則から、民需や公共事業が減ると生産量も減り、国民への分配額も減ります。GDPを増やす為には、誰かが「借金」をして「お金」を使う必要が有ります。それは、「現金通貨の総量が約100兆円」で「GDP約500兆円」を生みだしている事から考えても、GDPの正体は「借金」であると理解できます。

国債の償還や日銀の買い取りによって市中に現金が戻されるように見えますが、実際には預金通帳の「保有国債残高」を「預金残高」と科目が変更されるだけで、通貨の量が変わる訳では有りません。更に、需要の減少を見込んだ時は、その「通帳の数字」は設備投資には廻されず、通貨滞留を起こします。

日本国は世界最大の外国に対する資金供給国で、通貨の絶対量は不足していません。日銀は更に通貨供給量を増やそうとはしていますが、増えるのは日銀のベースマネーであって、市中銀行の貸し出しであるマネーストックでは有りません。

今の日本のデフレの原因は国内需要の不足にある事は明らかで、通貨の供給量に問題が有るわけでは無く、民間や政府が消費支出を増やさない限り、景気は回復しません。

「統計学」結果論でしかなく、将来を約束する指標では有りません。統計の数字を弄くり回しても実態経済は変化しません。 但し、共産主義国家では、崩壊するまでは「統計操作」が有効である事が歴史が証明しています。



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