以前、NHKの番組で「AIが分析した結果、女子中学生がスリムになると日経平均株価が上がる。」と言ってました。
これが正しいのなら「女子中学生スリム化義務法」を制定し、強制的に女子中学生をスリムにしたら株価が上がる事になります。
この場合のAIは過去のデータの相関を分析しているだけなので、主要因を確定したり未来を予想出来るわけではありません。出来ない予想をしているのは、AIではなく無知な人間です。
2つの因果関係のない事象が隠れた要因によって因果関係があるかのように推測され、実際には未来の動向を(予想)確定できない相関を、疑似相関と言います。
洗脳的誤解は、因果関係その物には相関性が無くても、他の主要因を隠される事で生じます。「風が吹けば桶屋が儲かる。」の類です。
主要因:寒さ。
結果1:コートが売れる。
結果2:暖房費が増える。
これを主要因(寒さ)を隠して分析すると「コートが売れると暖房費が増える。」=「コート買うと暖房費が増える。」⇒「暖房費を節約する為に、コートを買わない。」となります。
この「陰謀」は、被害は個人に限定されますが、同様なことが国政に起こると被害は甚大になります。その良い例が、デフレ時における財政収支の健全化(プライマリーバランスの黒字化)です。
主要因:GDPの減少。
結果1:税収が減る。
結果2:国債の発行高が増える。
結果3:財政収支が悪化する。
この分析で、主要因である「GDPの減少」を「結果0」に、「結果1」である「税収が減る」を「主要因」に、要素変更して分析すると、
「税収が減ると国債発行高が増え財政収支が悪化する。」⇒「財政収支を改善する為に増税し、国債の発行を減らす。」⇒「GDPが増加する」
となります。
これは、第2次安倍政権以前の政策です。
第2次安倍政権初期の政策は「財政収支を改善する為にGDPを増やし、市中国債を買い取り金利低下を誘導する。」です。これは「要素の変更」が無く、正しい分析です。
しかし、現在の政策は「市中に資金を供給し、GDPが増えたら、増税をして財政収支の健全化をはかる。」です。
これは、自動車のアクセルとブレーキを同時に踏む事になり、自動車の性能が良い為クラッシュだけは免れていますが、経済成長の効果は有りません。
正しい政策は「GDPを増やす為に、消費税或いは個人所得税を恒久的に減税し、公共事業などの政府支出を増やす為に必要な建設国債を発行し、財政健全化が進める。」です。
最悪でも、GDPを減らさない政策が必要です。
GDPの三面等価の原理「生産額=分配(所得)額=支出額」からも、支出が減ると確実にGDPが減ります。支出が減るとは、消費や設備投資が減る事で、預貯金が増える事も含みます。消費税率を上げて法人税率を下げると、消費者の消費額が減り、企業の内部留保(預貯金)が増え、政府の財政支出も制限されます。
「税収はGDPに依存する」ので、デフレ時の「財政収支健全化」の為には主要因である「GDPの増加」以外には解決策は有りません。「結果を改善するのではなく、結果は改善される。」です。
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