テレビとうさん

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「お金」 と 「通貨」

2019年05月30日 | MMT

 2019年の日本の中央銀行と公的機関の金保有量は765トンで、金額にすると3.7兆円の「金(きん)」です。 

日銀券(紙幣)の残高は110兆円程(2018年末)で、これが「現金(ゲンナマ)」です。

政府発行通貨(硬貨)は5兆円程で、これは「現金(コゼニ)」です。

日本の外貨準備高は130兆円相当で、例えれば「貯金(へそくり)」です。

 上記したモノは「金(カネ)」で、この「お金」と経済の仕組みから派生したモノが「通貨」です。

 紙幣の「お金」としての役割を除くと、その本質は日銀の負債なので、「日銀の無利息社債」とも言えます。 民間人が持つ「お金」は、インフレ時には価値の目減りを防ぐ為に、金融機関に預けて「利息」を受け取ります。一方、デフレ時には、利息も0%付近になりますが、物価が下がる為に「お金」の価値が上がり「金持ちは持っているだけで利益を得る」ことが出来ます。

 外貨準備高の元手は日本円ですが、円貨をドル貨に替えるのでは無く、円とドルを為替レートに従って数字を書き換えるだけです。但し、物価変動で損失が出ないように米国債等を購入して資産運用をします。決して円貨が流出したり、ドル貨が流入する訳ではありません。

 日本人の金融資産は1800兆円程あるので、発行済み紙幣の16倍程度の「通貨」が有る事が分かります。 資産の反対側には必ず負債が有ります。つまり、1800兆円の負債を誰かが負っている事になります。 但し、政府通貨(現在は硬貨のみ)には反対側に負債が無く、おそらくこれに相当するのは「徴税権(国民にとっての負債)」になると思います。

民主主義国家では政府と国民は一体なので、政府通貨は「自分が自分に発効している通貨」とも言えるし「徴税権は納税義務と同じ」とも言え「債務者と債権者は同一」となります。

 貸借対照表では、資産の反対側に負債と(曲者の)資本が有ります。資本(現在は純資産)は返す義務のない資金ですが、別の形での「御利益」が有ります。

 国民の意思を具現化した組織が政府で、そして憲法には「納税の義務」が謳われていて、その憲法を支持してるのは国民です。当然ながら、「政府の借金」は「国民の借金」である事は自明であり、同様に「国民の資産」は「政府の資産」である事も自明です。つまり、外国から借金しない限り、「国の借金は常に0円」です。

 国民の反乱を無視すると、政府の国民に対する「徴税権」の極限値は「国民の総金融資産1800兆円」になります。つまり、政府は1800兆円の政府通貨を発行できることになります。言い換えると「1800兆円の資本金」を得る事が可能と言えます。 この極限値があるのは、政府通貨を徴税の前に発行すると、日銀券と同様に負債になるので、政府通貨の定義から外れるからです。同時に、当然ながら国民の総(金融)資産以上に徴税する事は不可能とも言えます。 但し、現物納税と云う手段で総てを没収する方法も残されてはいます。これを世間では「共産主義革命」と言います。

 通常の政府の予算措置は、一年以内で決済されます。つまり、予算執行時には「お金」が無いので、一年以内に「お金」を工面して支払います。日本の予算100兆円の内、後から入る税収が60兆円で国債などが40兆円です。

 税金は国民から取り上げた「お金」なので国民の通帳から数字が減らされますが、国債の場合は国民の「お金」が通帳内で「保有国債」と書き換えるだけです。国債の場合は、この時点での国民の金融資産総額は変わりません。 ところが、予算執行をして政府が「お金」を支払った場合、100兆円が国民に渡され、全体として国債分の40兆円が民間の金融資産として増える事になります。勿論、税金分の60兆円は行って来いなので変わりません。

 つまり、政府が国債を発行して40兆円の借金をすると、国民の金融資産1800兆円から1840兆円に増える事になります。

 国家運営をする時の予算措置が、 

「金(きん)」だけの場合、政府保有の「金(きん)」以上の予算は組めません。一切の借金をしない家計簿方式です。 

「徴税後の税金」だけの場合、過去の「繰り越し金額」以上の予算は組めません。町内会方式です。 

「財政均衡論」の場合、経済成長は止まります。現在の日本方式です。

「国債依存度」を高めた場合、国民の資産を増やすことが出来ます。バブル崩壊以前の日本方式です。

「徴税権」を有効利用して政府通貨を発行した場合、国債依存度を減らすことが出来ます。これは、情報技術が発達した現在に於いて、最も相応しい方式と言えます。

 


2 コメント

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勉強になります (インドラネット)
2019-05-30 10:29:59
久しぶりに「通貨」について考えさせられました。
何かわかったような気がしたかと思うと、虹のように消える、そんな感じ。
とても便利がいいけど、胡散臭い世界です。

景気を維持するためには、国の借金を増やし続ける必要があるけれど、それはどこまで可能なのでしょうね。
なんだか「宇宙は膨張し続ける限りにおいて時間(未来)は存在する」みたいな感じの話ですね。
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インドラさんへ。 (テレビとうさん)
2019-05-30 11:05:54
コメント有難うございます。

本文に書いてあるように、外国から借金しない限り、「国の借金は常に0円」です。

日本が外国から「お金」を借りると、日本は負債を抱え、外国は資産を増やします。地球全体では「借金は0円」です。グローバリストはこの仕組みを利用しています。

政府が国民から「お金」を借りると、政府は負債を抱え、国民は資産を増やします。日本全体では「借金は0円」です。日本はこの仕組みを理解していません。

適正インフレ率になるまで、政府は国民から「借金」をする事は可能です。これを、適正な経済成長と言います。
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