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「アイヌ民族の定義」 と 「先住民族の定義」 Ⅱ

2020年12月27日 | 政治
 【ネタ切れに付き、過去記事の「編集・加筆」です。】

 欧州には「先住民族」は居ないとされています。この定説は、4~8世紀のヨーロッパ大陸に於ける「民族の大移動」によって虐殺されたり支配下に置かれた「先住民」は「先住民族」の定義は当てはまらない事を意味します。それでも、若しも「欧州」が「欧州連合」ではなくバラバラの国家だとしたら、各国は其々に「他国から侵略を受けた先住民の国家」と主張すると思います。

 これは、阿倍比羅夫が7世紀に蝦夷(今の北海道)の後方羊蹄(シリベシ)に政所を置き郡領を任命して帰った時の先住民は「先住民族」の定義には当てはまらないのと同じです。況してや、13世紀に現れた「アイヌ」が先住民族では無い事は明らかです。しかし、日本列島が島ごとに別の国だった場合は、各島国は其々に「他の島国から侵略を受けた先住民の国家」と主張することが可能になります。

 この「アイヌ先住民族説」を利用しようとしたのが、元自民党の「鈴木宗男議員」です。その理由(目的)は、「アイヌは日本の先住民なのだから、北方領土のアイヌは日本人であり、領土返還の切り札になる」と云うモノです。しかし、これをロシアは逆に利用して「アイヌはロシア人なのだから、北海道もロシア領の可能性が有る」と切り返されました。

 ロシアは17世紀にシベリアに進出し、ここに住んでいた諸民族を支配下に置きましたが、「アイヌ民族はロシアの先住民族の一つである」と主張したのは「日本側のアイヌ先住民族決議」を切っ掛けに、21世紀になってからです。これは、「先住民族」の定義が極めて政治的であることを意味します。

 国連では2007年に「先住民族の権利に関する国際連合宣言(以下:権利宣言)」を採択しましたが、肝心の「先住民族」の定義は示されていません。

 権利宣言第2条
先住民族および個人は、自由であり、かつ他のすべての民族および個人と平等であり、さらに、自らの権利の行使において、いかなる種類の差別からも、特に彼/女らの先住民族としての出自あるいはアイデンティティ(帰属意識)に基づく差別からも自由である権利を有する。

 「アイヌ民族」が日本列島の「一先住民族」であると仮定すると、「アイヌ民族」と日本列島にいる「他の民族」との平等を保障することを意味します。つまり、「アイヌ民族」だけに特段の権利を付与する事は、他の「日本列島の民族」との「平等性」を失う事になり、権利宣言に違反します。当然ながら、日本国憲法にも違反する事は明らかです。

 憲法第一四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 
権利宣言第12条の1
先住民族は、彼/女らの精神的および宗教的伝統、慣習、そして儀式を表現し、実践し、発展させ、教育する権利を有し、彼/女らの宗教的および文化的な遺跡を維持し、保護し、そして私的にそこに立ち入る権利を有し、儀式用具を使用し管理する権利を有し、遺骸/遺骨の返還に対する権利を有する。

 一部の「アイヌ民族」の葬儀は「家ごと遺棄」を含めた風葬であり、自然に還すと云う意味では合理的ですが、現在に於いてこの宗教的伝統を保護する事は不可能です。これらの「法律の普遍性」は日本列島が「日本国として統一」されているから言える事であって、「道州制」や「連邦」の場合には先住性は兎も角「民族の分断」が起こります。

 蝦夷(北海道)周辺に住んでいて、似た風習をもった複数の「部族」を「アイヌ民族」と一纏めに定義できる証拠は見つかりませんが、
「アイヌ協会」に質問状を送り回答を得ようとする努力がなされています。2020年12月現在でも、その返事は無いようです。



2 コメント

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Unknown (yk-soft-85)
2020-12-28 07:42:40
セコイさん、お早う御座います。

同感です。
7世紀ころから和人との交易で力を得た南樺太人が13世紀初頭に北進し北樺太人を樺太から追い出した為に、北樺太人が元朝の力を借りて「全樺太侵攻」を達成し、追い出された「南樺太人」が「北海道アイヌ5~8部族」の一つだと思います。

何れにしても、「アイヌ」には土地を治めると云う概念は無いので、「北海道はアイヌの土地」と決めつけると「アイヌ文化」を否定する事になると思います。
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Unknown (sekoisyougioyaji)
2020-12-27 20:19:16
アイヌ人はモンゴル帝国から逃げて来たシベリア流民の子孫。

であることはあまり知られていない。
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