テレビとうさん

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「熱力学」 と 「仕事」 Ⅱ

2020年03月12日 | 科学
 【ネタ切れに付き、過去記事の「編集・加筆」です。】

 熱機関は熱を運動エネルギーに変換する事で「仕事」をします。現実の機関ではこの時、変換されずに50%以上の(人間にとっては無駄な)熱を放出します。動物も(無駄な)熱を放出しなければ、「仕事」を継続できません。植物は逆に、熱を吸収して「仕事」をするので、エネルギーを蓄える仕事をしていて、この時の「仕事」は熱力学的には「負の仕事」をしたと言えます。

 そこで、「仕事」についての定義が必要になります。

 熱機関は、高温エネルギーを低温エネルギーに変える事により力を取り出します。これを、熱機関の「仕事」と言い、機関の内部で熱エネルギーを利用する場合は内燃機関と言い、外部から熱を取り込み力に変える場合を外燃機関と言います。何れも投下熱エネルギーの一部を運動エネルギに変換し、これを「仕事」と言います。

 恒温動物は、外気温が体温より低い場合は、体内に蓄えた炭素と水素を酸化させる事により熱を発生させ、細胞を活性化する事で「仕事」をします。この時、余った熱を放出しなければ体温が上がりすぎて、運動を継続できなくなります。逆に、外気温が体温よりも高い時は、暑くて「仕事」になりません。

 また原生動物や爬虫類など変温動物は、外部から熱を取り込む事により運動が可能となる場合も有ります。これも動物の「仕事」と言いますが、人間の場合は運動自体を「仕事」とは言わず、他人に良い影響を与えた場合のみ「仕事」をしたと評価されます。また、一般に自分が肥える事を「仕事」とは言いませんが、他人を肥えさせた場合は「仕事」をしたと言われる場合があります。

 ここで問題なのが、人間の自然に対する「仕事」です。

 植物は熱エネルギーを吸収し、自分の成長や子孫の繁栄を願っています。木の幹を太くする事や、種(たね)を作るためには熱エネルギーが必要で、この熱エネルギーの大半は貯め続けられています。

 「仕事」の定義が「熱エネルギーを運動エネルギーに変換する事」とすると、植物は怠け者と云う事になります。植物が熱を放出する時は、火災になった時か動物に捕食された後です。つまり「熱力学的」に言うと、植物の最大の「正の仕事」は地球を焼き尽くす事と言えます。

 植物の「負の仕事」によって、動物の「正の仕事」が担保されますが、エントロピー増大の法則によって無限遠の将来は破綻する事が予想されます。「エントロピー増大の法則」では、不可逆なエネルギー移動が起こるとエントロピーは増大すると定義されています。熱機関に於けるカルノーサイクルも「理論的」にはその一例です。

 振り子は、位置エネルギーを運動エネルギーに変えて左右に揺れていますが、これは可逆的なので理想系に於いてはエントロピーは増大しません。しかし、資源回収やリサイクルなどを熱エネルギーを利用して行うと、これは不可逆な「仕事」になりエントロピーは増大して、自然崩壊が早まります。

 運動体の運動エネルギーは100%熱エネルギーに変える事は可能ですが、止まっている物体に熱エネルギーを加えても動く事は無く、熱機関を利用して熱を運動エネルギーに変えると「カルノー熱効率」で示された分以外は(人間としては無駄な)損失エネルギーとしてて消失します。

 人が利用し廃棄されたモノを、他の人がそのまま利用する時は、エネルギーの損失は無いのですが、熱を加えたり加工をすると必ずエネルギー損失が待ち受けています。二酸化炭素なども、人間が回収せずに捨てた方が自然に優しいと言え、放って置いても植物が回収してくれます。植物が二酸化炭素を有機物に「加工」する時には「負の仕事」によって熱を奪う為、周囲の温度を下げてくれます。




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